森友学園問題、「忖度の物証」が持つ"破壊力" 籠池氏から職員に宛てた書面の中身とは?

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「これは満額回答。籠池氏の本当の希望は土地を買い取ることであって、借地期間の延長ではなかった。それが早々に買い取りが実現した。ゴミ処理費用として、8億1900万円も計上されたためだ。賃料も年額2700万円が年額1100万円まで減らされている(不動産鑑定士による最初の提示は年額4200万円)。この優遇措置で明らかに、忖度があったといえる」

こう述べた民進党の玉木雄一郎衆議院議員は、3月29日の衆議院国土交通委員会で「8億円にものぼるゴミ処理費用」の不可思議さを暴いてみせた。籠池氏が瑞穂の國記念小學院の土地を2016年6月に購入できたのは、9億5600万円の土地の代金からゴミ処理費用を差し引いて1億3400万円に大幅値下げされた結果だが、なぜ生活ゴミの撤去に8億1900万円もかけられたのか。

なぜ生活ゴミを取り除く必要があったのか

玉木氏によると、2015年1月のボーリング調査により小学校用地にはかつて(ゴミが捨てられていた)池沼があったことが判明している。しかし周辺には高層住宅も建っており、建築を制約する可能性が低いとの鑑定が出ている。それなのになぜ、8億1900万円をかけて生活ゴミを取り除く必要があったのか。そういう法的義務はどの法律が規定しているのか。

これについて財務省の中尾睦理財局次長は以下のように述べている。
「法律でいえば民法に規定されていると思うが、埋没物が変質するリスクというものがあって、これは杭を打っていて、仮に杭の中に生活ゴミなどが混じっていると、杭が変質するというものだ。そういうリスクもあったやに承知をしている」

なんと生活ゴミが杭を変質させ、建設に支障をきたすという説明だ。これでは全国にある建築物のほとんどが、危険なものとなってしまいかねないが、果たして政府はこのような陳腐な理論で、「8億1900万円は相当だ」と証明できたと思っているのだろうか。

そもそも森友学園問題の論点は2つに集約される。ひとつは小学校の認可の問題で、もうひとつは8億1900万円のゴミ撤去費用の計上など、昭恵夫人を名誉校長に迎えたことで籠池氏に対して「特別の配慮」があったのかどうかという点だ。

それを離れた事実の確認は、真実隠しの疑いが強い。そもそも国政調査権は憲法が直接規定するほど強力で重要な権限だ。それを使って自民党は、いったい何を究明し、何を守ろうとしているのか。その結果、国民は置き去りにされているのではないか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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