いずれ「葬式と墓」は当たり前ではなくなる 納骨が増えていない本当の理由
2006年に大ヒットした曲『千の風になって』には、「私のお墓の前で泣かないでください」というフレーズがある。けれど10年後、多死時代にして人口減に向かっている日本では、この歌詞さえ幻になりつつあるのだ。
よく生きて、よい死へ─今あるつながりを大切に
とはいえ現実的な、官民の連携による朗報もある。横須賀市や大和市では、身寄りがなく生活にゆとりのない高齢者の死後の葬儀や納骨方法などの計画を生前に作成する支援を始めている。また、市民活動にも希望の動きが。
「NPO法人葬送を考える市民の会では、女性のしなやかな視線から死をタブー視せず各人が心のこもった葬送を実現できるようにサポートしています」(碑文谷さん)
人生のエンディングは、誰もが誰かに、身の始末は託さざるをえない。「樹木葬」や「合祀」といった、最近、話題にのぼるお墓の形を選ぶのはどうだろうか。
「樹木葬が広がってるかというと、実はそんなに広がってないし、そんなには売れてない。普通のお墓を欲しいって思う人のほうが、圧倒的に多いんですよね。合葬に抵抗を持つ人が多いんです」(小谷さん)
人は死んでさえなお、知らない人と一緒にいるのを嫌がるものなのか。
「ただ最近は、合葬のお墓でも、老人ホームがお墓を持っていて、終の棲家が同じという人同士とか、生協のコープの人たちで入れるお墓は人気がある。横のつながりで死者を葬る試みは広がってます。
今までは家族が葬送してきたけど、その価値観が破綻している。自立できなくなったときには、老人ホームとか友達同士でお墓に入るのも増えてくると思う。もうタテではなくて、ヨコのつながりで弔うしかない」(小谷さん)
死んでからのことに思い煩うよりも、生きて友達や人とつながることに時間やエネルギーを費やすべき。小谷さんは明るく言い切った。
(写真はすべて『週刊女性』より)
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