鉄道の「株主優待乗車証」お得度ランキング JRは九州がお得、私鉄トップの利回りは6%超

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続いて私鉄について見ていこう。株主優待については定期券のように使える乗車証タイプと回数券タイプの両方を発行している会社もあるが、今回は乗車証タイプのみを対象とした。距離については通勤などで利用される頻度が高い、ターミナル駅から20~30キロ圏の区間を各社別に選定。その6カ月通勤定期券の価格を株主優待の換算価格とした。

この結果1位となったのは神戸電鉄だ。湊川―三田間の6カ月定期券の価格12万3340円に対して、必要最低投資額は374万円。年換算利回りは6.59%と、2位の秩父鉄道(2.73%)を大きく上回る。

3位の京福電鉄は京都市内を走る路面電車「嵐電」を運営している。現在の嵐電の最長区間の6カ月定期券価格は5万7460円。必要投資額で割った利回りは2.46%だ。ただ嵐電では全区間乗り降り自由の6カ月「全線パス」を4万6800円で発売しており、定期券よりも割安だ。そこで同社は、割高となる区間の定期券を購入しようとする客には全線パスの方が割安であることを伝えている(嵐電は2017年4月1日に定期券運賃制度の変更を予定)。

私鉄の上位は地方の中小鉄道

1~5位を占めたのは神戸電鉄、秩父鉄道、京福電鉄、広島電鉄、山陽電鉄など中小私鉄が中心。大手では、関西圏で7位に南海(難波―泉佐野間、利回り1.32%)、関東圏で10位に東武(北千住―春日部間、0.97%)がそれぞれ最初に顔を出す。

阪急阪神ホールディングス(HD)は、傘下企業によって優待を受けられる株式数が異なる。阪神電鉄の優待乗車証は6200株から発行されるのに対して、阪急電鉄の優待乗車証は9800株保有していなければ発行されない。

なお、今回のランキング作成では回数券を除いたが、相鉄ホールディングス(HD)では、必要な最低株式数を保有している株主に対して乗車証に加え回数券を80枚発行することは付記しておきたい。大半の会社において回数券発行はせいぜい数枚~40枚にとどまる中、80枚は破格だ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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