東芝、3月末の債務超過回避策は綱渡りだ 見えない資本増強

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ただ、3月末に資産超過を確保したとしても、引き続き、自己資本問題は残り続ける。減損問題が浮上するまでの株主資本は約3600億円程度。メモリー会社の株式売却に加え、その他の資産を切り売りするにしても、財務はぜい弱なままだ。

取引銀行のある幹部は「第一段階は、債務超過の回避。新年度以降に資本増強策が課題になる」と話す。

三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行の主力取引行や、日本政策投資銀行などを引受先とする優先株なども取り沙汰されるが、リスクの高い出資には銀行も安易に乗るわけにはいかない。

中計をどのように作り直すのか

27日の会見で、綱川智社長は、主力と位置付けている原子力事業の将来計画の見直しを表明し、新たな中期経営計画を2月に公表すると宣言した。取引銀行からは「原子力ビジネスの未来はバラ色どころか真っ黒」(役員)との指摘も出ており、主力事業をどのように位置づけ直し、中計を作り直すのか、大きなポイントになりそうだ。

「中期的に、東芝がどのような会社になるのか。財務戦略とは別次元の本質的な課題だ。それをきちんと示す必要がある」──。取引銀行の首脳はこう語っている。

 

(布施太郎 取材協力:浜田健太郎、編集:田巻一彦)

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