中央線快速「運行ダイヤ」はこうして作られる 土休日に特快を増やす「配給列車」とは何か

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着線を2線にすると先行列車がホームを離れる前に後続列車を到着させることができ、1分近くの長い停車時間が必要な駅でも、列車を追い込むことができる。その設備を増設したことで、これまでネックだった区間の遅延防止が図られた。7か所もの両面発着駅を持つのは中央線のみで、2分間隔の稠密(ちゅうみつ)ダイヤをいかに安定化させるかの努力が表れている。

中央線快速は1時間最大30本が運行する(撮影:塩塚陽介)

その一方で、宿命も多い。列車本数とあわせた大きな特徴に、他線との直通運転の多さを挙げる。その筆頭は青梅線(立川―青梅間)で、終日にわたる。始発もある河辺駅では朝ピーク時に1時間12本が運転されるが、うち8本が東京直通で、時間帯の区切りを少しずらすと「青梅ライナー」を合わせて9本が連続するシーンもある。これに拝島からは、五日市線・武蔵五日市発と八高線・高麗川発を拝島で併結する列車が2本加わり、ピーク1時間に最大11本の中央線直通が入る。

珍しい「箱根カ崎行き」

五日市線や八高線直通は夕~夜間にも下り2本があり、八高線直通は箱根ケ崎行きと高麗川行きとなる。約300本に及ぶ中央線下り快速(特快等を含む)の中で、箱根ケ崎も高麗川も一度しか行先が表示されないのだから、数多い青梅行きとは逆に、きわめて珍しい。

日中の青梅直通は毎時3本でパターン化されている。この直通は、平日は青梅特快1本と快速2本、土休日は青梅特快2本と快速1本と、組み合わせが変化する。2013年に特快を増やしたのは、距離が長い乗客への利便を図るものだったが、とくに土休日は郊外への行楽客誘致を目的として青梅線直通を増やしている。

高尾から西、「中央本線」に直通する特快や快速は13.5往復(一部は各駅停車)あり、うち上下2本ずつは、大月で編成を分割併合して富士急行線河口湖まで乗り入れる。JR東日本は猿橋(山梨県大月市)で住宅分譲を展開しており、その施策の一環でも必要な列車となっている。上りは朝、下りは夕方以降に本数が多いのは通勤需要がある証で、河口湖直通も行楽臨時列車とは異なる朝晩の運転である。

これらの直通は、各方面から中央線に流入するニーズの強まりによるが、関係各線は単線のためにダイヤ作成の上では制約が多い。青梅線も青梅の手前、東青梅から先が単線で例外ではなく、その一駅間の関係で、必ずしも中央線に理想のダイヤでつながるとは限らない。

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