クリスピードーナツ、あの新宿1号店も閉店へ 1月3日に「契約満了」で閉店、新型店舗に活路

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当初は大成功を収めた戦略だったが、日本のスイーツ市場は流行の移り変わりが早く、ブームはやがて下火になっていった。にもかかわらず、クリスピー日本法人は地方中核都市を含め、各地への出店を継続。以前ほど行列ができなくなっていたのに、店舗作りや接客は「いかに早く顧客をさばくか」「お客を待たせないか」という点に重点を置いてきた。

こうした路線が行き詰まり、収益は低迷。ピーク時には全国で64店舗を展開していたが、大量閉店によって2016年3月期は純損失8.1億円を計上している。店舗数は、今年9月末で46店舗にまで減少した。

この失敗をバネに、クリスピー日本法人は全面的な戦略転換に乗り出している。これまで店舗が大型にならざるを得なかったのは調理スペースの問題が大きい。ドーナツの製造に使う機械やフライヤーはすべて米本社が開発、設計したものを使う必要があった。

次の10年をどう生き延びるのか?

「イオンタウンユーカリが丘店」はキッズスペースを設けるなど、より家族連れを意識した作りとなっている(写真:クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン)

今回、クリスピー日本法人は国内メーカーと組んで機械の小型化に成功。「製造スペースが従来比で7割減、初期投資費用も8割減にできる」(同社)という。店舗の内装も立地にあわせて、ビジネスパーソンや家族客が使いやすいようにデザインを刷新していく方針だ。

新店となる「イオンタウン ユーカリが丘店」(千葉県佐倉市)では、家族客向けに落ち着きのあるインテリアを採用し、キッズスペースを作った。厨房にも新規開発した機器を導入し、コスト削減を図っている。改装した「ららぽーと甲子園店」(兵庫県西宮市)にも、新型の厨房機器を導入した。2017年4月以降、このような店舗網の見直しを本格化させる方針だ。

若月副社長は「新宿サザンテラス店の閉店は寂しいかもしれないが、振り返っても過去は戻ってこない。(閉店は)行列ができるドーナツ屋から決別し、本当に日本に溶け込めるブランドになるために必要なことだ」と話す。

クリスピーにとって新宿サザンテラス店は、日本での”成功の象徴”ともいえる店舗だった。あの熱狂が冷めた今、次の10年を生き延びることができるのか。それには、かつてマクドナルドやスターバックスコーヒーなど外資系の外食チェーンがたどってきたような、「ローカライズ化」をどこまで進められるかがカギとなる。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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