安倍外交の「成果」が次々と崩壊し始めている 会談5日後にトランプ氏は「TPP離脱」を宣言

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2015年12月に実現した日韓両国政府間の従軍慰安婦問題の合意にも、暗雲が垂れ込めている。

合意の内容は次のようなものだ。韓国政府が元慰安婦支援のため設立する財団に日本政府が10億円拠出する。そして、日韓両国政府が慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」したというもの。さらにソウルの日本大使館前にある従軍慰安婦像について、韓国の尹炳世外交部長が「日本政府が、大使館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても可能な対応方向について関連団体との協議を行うなどして、適切に解決されるよう努力する」と発言して、慰安婦像の撤去について努力することを表明した。

両国政府関係者は公式には認めていないが、形の上では日本政府が10億円支払うことと、大使館前の慰安婦像の撤去がバーターされる関係になっている。そのうえで最終的、不可逆的解決を確認したのであるから、高く評価できる内容だった。

ただ、この「合意」は岸田文雄外務大臣と尹炳世外交部長が共同記者会見で発表したもので、文書化されておらず外交上は強制力を持たない。その点が当初から懸念されていた。しかし、日本政府は合意内容に従って今年8月に10億円を拠出し、韓国政府も財団を作り11月から元慰安婦にお見舞い金の支給を始めた。ここまでは予定通りに進んでいた。

朴政権は機能不全に陥り、慰安婦像撤去は絶望的

ところが事態は11月に入ってから急転した。韓国の朴大統領が40年来の知人である崔順実(チェ・スンシル)氏に国家の機密情報書類などを渡していたとするスキャンダルが浮上し、国内で大統領の辞任を求める声が一気に噴出したのだ。

「チェ・スンシル・ゲート」と呼ばれているこの事件の展開はとどまるところを知らず、捜査を進める検察はチェ氏や元秘書官らを職権乱用などの容疑で起訴した際に、大統領についても「共謀関係がある」と指摘した。憲法上、大統領は在職中に刑事訴追を受けないとされているが、検察が大統領を犯罪者扱いしたことで韓国政府は完全に機能不全に陥っている。

そうなると日韓合意で残っている慰安婦像の撤去問題はどうなるのか。朴大統領が2018年2月までの任期中に日本との約束を守って慰安婦像撤去を強行する可能性がないわけではないが、今のような状況の中で撤去に踏み切れば逆に韓国国民の反日感情に火をつけるだけだろう。すでに日本外務省幹部は「朴大統領が慰安婦像の撤去に踏み切る可能性は完全に消えた」と見ている。

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