ポルシェ「パナメーラ」は一段進化を遂げた 後席広々の新仕様「エグゼクティブ」の正体

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世界的に好調なセールスを記録中というスタイリッシュな4ドアのパナメーラ。そこに持ってきて今回のエグゼクティブ仕様の設定で、より広範囲の顧客へのアピールをはかっているのが興味ぶかい。より大きなクルマを求める中国の市場でも、投入すれば人気が出るだろうとショーでは多くのジャーナリストが話していた。

もう1台はポルシェの看板車種の究極版だ。

ロサンジェルス・オートショーの特徴は、先にも書いたようにカリフォルニア州だけあって環境対応車が少なくなかったことがひとつ。もうひとつはスタートアップの展示が多かったこと。これは昨今のシリコンバレーとクルマとの距離の近さを表しているといっていいだろう。そしてもうひとつはスポーツモデルの充実ぶりである。

GT耐久レース向けのレースカー「911 RSR」

富裕層も厚くモータースポーツが昔から好まれていた土地だけに、スポーツカーに力を入れるメーカーは少なくない。ポルシェも環境対応モデルを出すいっぽう、911 RSRのワールドプレミアを行った。911 RSRはポルシェがおりに触れて送りだすGT耐久レース向けのレースカーだ。

911 RSRは「2017年のモータースポーツ活動に向けて新たに開発された」(ポルシェ広報資料)モデル。ルマン24時間レースなどに向けて開発されておりレースに参加したい個人などにも販売される。巨大なリアスポイラーをはじめ、フロントのスポイラーからリアのディフューザーにいたるまで空力ボディはまさにレースカーだ。

特筆すべきは500馬力を超える4リッターの水平対向6気筒のパワープラント。このうえなくパワフルであるばかりか、リアアクスルより前方に搭載されている。つまりこのスペシャル911はミドシップなのだ。強力なパワーで後輪を駆動するために充分な接地性を確保するという911本来のコンセプトは守りつつ、レースカーとしての高い性能を確保する911のかたちをしたリアルスポーツカーなのだ。

シャシー直づけのシートで強度を高めるなどレースカーの教科書のような設計である。いっぽう電子デバイスを使った衝突回避システムも搭載されており、ポルシェのGTは新しい時代に入ったことを教えてくれた。当然

ショーでは多くのひとの注目を浴びており、アメリカ人を中心とする来場者のスポーツカーへの思い入れの強さを感じさせてくれた。

ポルシェはミッションEというツインモーターの次世代車の開発を進めていることを明らかにしている。ショーに展示されていないのは、たいていプロジェクトが市販に向けて進んでいることを意味する。多様なラインナップがブランドを作り上げていることを実感するのだった。

(文・小川フミオ)

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