テロから1年、バタクラン劇場再開までの苦悩 現地ルポ、フランスは何が変わったのか

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12日夜、バタクラン劇場近辺のレストランは多くの人々でにぎわっていた
あの「パリ・テロ」から、11月13日でちょうど1年となる。パリ内外のスポーツ施設や繁華街にいた130人の市民がイスラム教過激派青年たちのテロ行為によって命を落とした。 当時の記憶や衝撃は、当事者や遺族からまだ消えていない。
その一方で、反イスラム教徒感情が強まっていることへの懸念も指摘されている。13日に市内で予定されている記念イベントを前に、現地の様子とメディア報道を追ってみた。

バタクラン劇場にスティングが登場

パリ・テロで90人という最大の被害者を出したのが、ヴォルテール大通りのバタクラン劇場だ。1864年に建てられたこの由緒ある劇場は事件後、閉鎖状態にあったが、11月12日、英ロック歌手スティングがコンサートを開き、その歩みが再開された。チケットは8日、発売と同時に売り切れとなった。

テロに負けていないことを示す象徴となった、スティングのコンサート。しかし、いかにも「テロ後」であることは明白だ。会場周辺には警察官を乗せた数台のトラックが駐車され、バタクラン劇場前の大通りには鉄製の柵がいくつも置かれた。入り口付近を警察官が囲み、コンサートのチケットを持っている人だけが一人一人、警察の入念なチェックの後で中に入ってゆく。なんとも物々しい雰囲気である。報道陣も一般人も通りを隔てた場所からバタクランを眺めるだけだった。

劇場近くの木の周りには、犠牲者追悼のろうそく、花などが置かれていた。近辺のレストランは土曜日の夜ということもあって客で賑わっており、寒い日ではあったが、外に張り出したテントの中で食事を楽しむ光景が見られた。

書店に行くと、ドナルト・トランプ氏が次期米大統領候補になったことを報じる新聞や雑誌が並ぶ中、パリ・テロを振り返る特集を組む雑誌も目に付いた。

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