韓国大統領「スキャンダル」の巨大すぎる衝撃 「友人」の国政介入を巡り、政権は死に体に

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ただ、国民からの不信感が高まっている、崔氏の団体による資金集めに関与したかどうかについて、より踏み込んだ発言はなかった。「謝罪になっていない」との反発も高まっている。

とはいえ、大統領が「捜査を受ける」と発言した意味は非常に重い。これは捜査を受ける初の現職大統領になる、という不名誉を甘受したうえでの発言だ。これによって、国家元首である大統領であっても、容疑があればいつでも捜査できるという先例をつくることになる。

だが、朴大統領は「国政は一時たりとも中断されてはならない」とも述べ、辞任は否定した。これに対し、野党である「共に民主党」「国民の党」は即刻辞任を求めていく方針だ。もっとも、大統領が「捜査を受ける」と明言したことについて、「少なくともその結果が出るまでは見守る必要があるのでは」との意見が出てくる可能性はある。

首相が権限握り、大統領はお飾り?

辞任を否定したものの、支持率5%という水準では朴大統領による国政運営は事実上不可能になったと言っても過言ではない。仮に朴大統領が辞任した場合、憲法の規定上は国務総理(首相)が大統領の権限を代行することになる。

また国会は大統領弾劾の追訴を行うことも憲法上可能だ。この場合、国会議員の過半数の賛成を得て、大統領弾劾訴追を発議し、投票を行う。結果として国会議員の3分の2以上の賛成があれば弾劾が決議され、大統領は憲法裁判所による弾劾裁判の判決が出るまで職務が停止される。裁判官の3分の2以上の支持があれば、弾劾は成立し、大統領はその職を罷免されることになる。

現職大統領が辞任するなどしてその資格を喪失した場合、60日以内に大統領選挙を行うことが規定されている。しかし、仮に朴大統領が辞任しても野党側は選挙の準備をできていない、というのが実情だ。韓国メディアは、朴大統領は任期まで職に留まるが、実質的な国政運営は国務総理が行うという、「2線後退」の形を取る可能性が高いとみている。そのため与野党が協議し、国務総理候補者を選出する動きも出てきた。いずれにしろ今後の行方は、まったく不透明といえるだろう。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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