まさかのトランプ大統領誕生を想定してみる 「マーフィーの法則」は知っていますよね?

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11月8日の投票日まで残り1か月、ここで思い起こすべきはむしろ「マーフィーの法則」であろう。”If it can happen, it will happen.”(起こりうることは、起きてしまうものだ)。第45代合衆国大統領にドナルド・トランプ氏が就任することは、もちろんテールリスクではある。が、その可能性に目を閉ざしてはなるまい。

実際に50州での予想獲得選挙人の数を積み上げてみると、トランプ氏が勝つためにはオハイオ州を確実に押さえたうえで、フロリダ州、ペンシルベニア州、ミシガン州という3つの激戦州のうち2つを取らなければならない。それはかなり高いハードルとなるのだが、敢えてここでは「考えたくないことを考えて」みよう。

トランプ大統領誕生でも、上院選挙次第で人事は大停滞

11月8日、トランプ氏が当選したとする。第45代大統領の就任式は来年1月20日なので、それまでは政権交代期間となる。

さしあたっての注目点はトランプ政権の人事である。司令塔となる首席補佐官は3人の子供のうち誰か――おそらくはもっとも信認の厚い長女イヴァンカ・トランプが――務めるものと見る。ホワイトハウスのスタッフは議会承認が不要なので、さながら同族企業のような様相を呈することになるのではないか。

国務長官、国防長官、財務長官などの閣僚ポストは、ある程度は名の通った人物が指名されるだろう。ここで問題となるのが、大統領選挙と同日に行われる議会選挙である。

下院における共和党優位は変わらないだろうが、上院の票読みがまことに微妙。現在は共和党54対民主党46議席だが、今回の選挙は2010年に共和党がボロ勝ちした6年後に当たるので、改選議席数は共和党の24に対して民主党はわずかに10のみ。民主党で不安のある議席は1つだけだが、共和党はウィスコンシン州とイリノイ州の2議席で劣勢に立ち、なおかつ6議席が「トスアップ」と呼ばれる確率半々の状態である。議席数は50対50、もしくは民主党が上回って51対49の多数党となるのではないか。

上院の票決が50対50に割れた場合は、議長を兼ねる副大統領の1票で決するので、次期政権としてはぎりぎりセーフとなる。しかし民主党が1議席でも上回った場合は、人事の承認はとことん揉めるだろう。アメリカ連邦政府の人事には、閣僚から各省の局長以上、さらには各国大使に至るまで上院の承認が必要となる。下手をすれば、政権の陣容が揃うまで半年以上かかるかもしれない。トランプ氏の売りは、「ビジネスマンの感覚で、停滞しているワシントン政治を動かす」ということだが、議会対策には手を焼きそうだ。

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