32歳高年収女子は、なぜ結婚できないのか 東京カレンダー「崖っぷち結婚相談所」<1>

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しかし杏子は昔から、お食事会などに参加しても連絡先を聞かれる頻度はかなり少ないし、やっとデートまで辿り着いても「怒ってる?」などと気を遣われ、なかなか発展しない。そして恋人にはだいたい半年前後でフラれる。

仕事であればどんなに難しいディールも努力次第で上手くまとめられる自信があるのに、恋愛だけはどうしても上手くいかないのだ。

一体、自分の何が悪いのだろうか。どうして男たちは、賞賛を浴びせるばかりで自分に特別な興味を持たないのか。30歳を過ぎてからは、杏子は真剣に頭を悩ませるようになった。

そして何よりも、32歳で恋人を失ったという事実は、思っていた以上に心に暗い影を落とした。

「最後の砦」だと思われていた朋子の結婚の衝撃

タイミングの悪いことに、今日は大学時代のゼミ友達である朋子の結婚式だった。朋子は黙っていれば顔だけは可愛い女だが、とにかく毒舌で太々しい性格をしていて、彼女は周囲の人間からは「残念なオンナ」というレッテルを貼られていた。

次々と結婚を決めていく女が絶えない中で、朋子は結婚できない女たちの「最後の砦」だと、誰もがそう思っていたはずだ。

「朋子の結婚は、AKB48のこじはるが卒業するのと同じくらいのインパクトがありました。」

実際、結婚式の友人スピーチでもこんな風に言われていた。朋子本人にしても、そんなキャラを自虐ネタとして、いつも笑いをとっていたくらいだ。

自分より格下に思える女たちのほとんどが既婚者だった

そのスピーチで会場中は笑いに包まれたが、杏子は全く笑えなかった。では、独身のまま残された自分は一体何だと言うのだ。同じ仲間であったはずなのに、もはや自分は存在を忘れられてしまったのか。

朋子の夫は同じ会社の3つ年下の営業マンだそうで、イケメンで仕事もデキる男だそうだ。彼の隣で、朋子は得意気な顔で思う存分に幸せに浸っている。

正直キャリアも顔も、杏子の方が絶対に上だという確信があった。性格だって、あんな毒舌女より自分の方がよっぽど知性があって女らしいはずだ。

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