マック「ランチ割引」、なぜ1年ぶりに復活? 迷走するお昼のキャンペーン

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だが、このキャンペーンもチキンショックや異物混入が影響し、苦境に陥り、2015年10月に終売。時間を問わず、単品200円の「エッグチーズバーガー」など3種類の導入と、ポテトなど好みのサイドメニューとドリンクMサイズで500円という「お手ごろマック」を導入することで、平日昼限定のキャンペーンは廃止になった。

この時、カサノバ社長は「昼マックは平日の数時間だけ。(顧客から)混乱してしまう、食べたいときにないという声があがった。『お手ごろマック』は、朝食時間帯を除いて毎日いつでも提供できる」と説明していた。

にもかかわらず、なぜ9月12日からは再び”混乱”の元凶のようなランチ割引を復活するのか。会社側は「お得感のある昼メニューがほしいという声に応えた。400円のコンビは、より選択肢を広げてもらうため」と説明する。

外食市場の動向に詳しいNPDジャパンの東さやかシニアアナリストは「昼マックをやめてからランチ時間帯の客数が減っていた。とりわけ平日が弱かった」と指摘する。

ポケモンGOの効果も限定的?

2012年~2014年に実施していた「マックランチ」(撮影:2013年4月、尾形文繁)

同社の既存店売上高は2016年に入り2ケタ増が続き、ようやく回復基調にある。ただ、牽引しているのは客単価で、高単価の期間限定商品に支えられている部分が大きい。

集客効果を見込み、7月後半に「ポケモンGO」と提携したが、客数の伸び率に大きな変化は見られなかった。マクドナルドのある幹部は「客単価が上がりすぎ。これはちょっと危険だと感じていた」と危機感をあらわにする。

デフレの再来と言われている現在の状況は、リーマンショック後の2009年にランチ割引セットを投入したときの状況と似ている。マクドナルド自身はこうした歴代のランチキャンペーンについて「経済状況を考えながら、顧客に支持してもらえる適切な値段を設定している」(会社側)と説明する。

約1年ぶりのランチセット復活で客単価と客数のバランス是正はなるか。効果は10月上旬にも発表になる既存店売上高の月次で明らかになる。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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