黒田総裁大喜び?消費者マインドが急好転 日本銀行のアンケート調査でわかったアベノミクス効果
今後の物価も7割超が「上昇」と回答
物価に対する見方も大きく変化した。前回の12年12月調査では1年後の物価に対する見方について、上がる(「かなり上がる」と「少し上がる」の合計)と答えた人は全体の53%だったが、今回の3月調査は74.2%に上昇。同割合は50~60%台で推移しており、70%台に乗ったのはリーマンショック後で初めてのことだ。
今回の水準は、直近で08年9月調査(調査期間は08年8月14日~9月8日)の81.2%に次ぐ水準になる。この時期はリーマンショック(08年9月15日)直前で原油価格も高かった頃だ。世界金融危機で景気が腰折れした結果、10年の3月調査では「上がる」と答えた人の割合が32%まで低下している。
さらに先行きの見方で物価以上に変化が激しかったのが地価見通しDI(「上がる」-「下がる」)の動きだ。12年12月調査でマイナス30.3だったDIは今回の3月調査で一気にプラス5.1になった。景況感DIと同じくプラスに転じたのはリーマンショック以来初めてであり、08年3月調査のプラス0.5以来。プラス5.1という水準は07年12月調査のプラス11.7に次ぐ水準となる。
さまざまな見通しが好転しているのは間違いないが、そうした人たちが自身の今後の収入をどう考えているのかが気になるところ。同調査には「1年後と現在の収入を比べると」という質問がある。それに対し「増える」と答えた人の割合は2倍に増えた。が、「増える」と答えた人の割合は全体の9.5%(前回調査は5.5%)と1割に過ぎない。「変わらない」が53.1%、前回の44.6%から減少したものの、1年後の収入が「減る」と見ている割合」も全体の37%を占める。
さらに、収入と同じく「1年後と現在の支出を比べると」という質問の結果を見ると、「増やす」と答えた人の割合は前回調査の4.6%から今回は4.8%と大きな変化はなく、「変えない」と答えた人の割合が前回調査の40.5%から45.8%に増えた。明らかにムードは好転しているが、収入増加を期待して財布の紐をゆるめるという心理には至っていないともいえる。
黒田東彦総裁は、日銀の積極的な金融緩和姿勢で「デフレ予想を打破して、物価が上昇していくという期待をつくる」ことを重視する。期待が変わり、実体経済の何が変わるのか。答えが出るのはもう少し時間がかかりそうだ。
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