日本には1100万人!「ED」は死の病の前兆か 「シモの問題」で片づけるのは危険すぎる!

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勃起の仕組みは先ほども述べましたが、もう少し詳しくいうと、体内にテストステロンが十分にあってNOが正常に出ていると、筋肉や血管に作用して「サイクリックGMP」という物質がつくられます。

このサイクリックGMPが働くと血流がよくなり、勃起現象が起こるのです。

ところがこのサイクリックGMPの作用を邪魔する物質があるのです。それが「PDE5」です。PDE5は、サイクリックGMPを酵素の働きで分解してしまいます。

そこでPDE5阻害薬は、この酵素の働きを阻害してサイクリックGMPの作用を回復させ、血流をよくして正常な勃起を起こすわけです。

さらにPDE5阻害薬は、テストステロンを上げ、活性酸素を減らしてくれるので、男性の究極のアンチエイジング薬でもあります。

「心臓に副作用が出る」はまったくの誤解だ

――バイアグラというと、健康に悪いというイメージがありますが?

EDの治療薬は「心臓に副作用が出る」といわれたこともありましたが、これはまったくの誤解です。

逆に血管の新陳代謝をよくし、心肺機能を高める効果があります。血管の「錆び」を取るといってもいいでしょう。

また、ED治療薬は頻尿対策にも効果的です。オフィスで1日に10回もトイレに行っていた人が半分で済むようになるというケースも報告されています。

深刻な副作用は報告されておらず、非常に安全性に優れた薬といえます。心筋梗塞や狭心症などでニトログリセリンを服用している人には処方できませんが、それ以外の人は安心して服用できます。

ただし、ED治療薬は医師の処方が必要です。ネットなどで安易に購入するのは大変危険です。ネットでは偽薬をつかまされるケースもあります。これらは効果がないだけならまだしも、毒物が混入して体に害悪を与えるおそれもあります。

EDかも?と思ったら、気軽に医師の診察を受けることをお勧めします。

ED治療というと、なんだか敷居が高いように思われていますが、れっきとした血管の病気なのですから、堂々と泌尿器科やメンズヘルス外来で治療を受けてください。

堀江 重郎 順天堂大学医学部教授

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ほりえ しげお

順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科外科教授。泌尿器科医。医学博士。日本Men's Health医学会理事長。1960年生まれ。85年東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得し、泌尿器がんの根治手術と男性医学を専門とする。すべての男性を元気にする医学を研究している。
一般向けの著書に『ホルモン力が人生を変える』(小学館)、『ヤル気が出る!最強の男性医療』(文藝春秋)などがある

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