リオ五輪、ブランドの「勝者」と「敗者」はどこか アンダーアーマーは圧倒的な勝者だ
コカ・コーラ:アンダーアーマーは法外な五輪スポンサー料を回避したが、公式スポンサーにはやはりそれなりのメリットがある。ソーシャルメディア分析をおこなうシソモス(Sysomos)によると、公式スポンサー各社の先頭を走ったのは、清涼飲料メーカーのコカ・コーラ(Coca-Cola)。大会最初の1週間で最多のメンションを獲得した。約4万7000回というその数字は、2位の家電大手サムスン(Samsung)の2倍以上だった。
コカ・コーラはリオ五輪に際して大々的なグローバルキャンペーンを打ったが、その大部分は日本からもたらされた。同社は、日本向け公式アプリ「Coke ON」(コーク オン)と同社公式Twitterアカウントを連動させて、金メダル獲得の瞬間のリツイート数だけ商品が当たるキャンペーンを実施。これが莫大なエンゲージメントを生み出した。
GE:コングロマリット企業ゼネラル・エレクトリック(GE)は、Facebook上でノスタルジーに訴える作戦に出て、オリンピック視聴者の心をつかんだ。GEは、1990年代にブラジルで人気を博した子供向け番組『カステロ・ラ・ティン・バン(Castelo Ra-Tim-Bum)』のキャラクターを起用した動画シリーズを公開。
また7月には、この動画シリーズをFacebookのライブ動画でも配信すると発表した。さらに、リオ五輪のインフラ建設に協力したGEの研究員にインタビューしながら、ブラジルのGE研究室内を360度見渡して紹介する動画も配信。このライブストリーミングは約25万回視聴された。GEは同シリーズをFacebookやインスタグラムでも宣伝した。
デジタル認知度の点で最重要アスリート
シモーネ・バイルズ選手とそのスポンサー:女子体操で金メダル4個、銅メダル1個を獲得したシモーネ・バイルズ選手は、リオ五輪で一躍スターになった。
五輪出場時点でのスポンサー料は総額200万ドル(約2億円)と報じられ、プロクター・アンド・ギャンブル(The Procter & Gamble)の洗剤「タイド(Tide)」、ユナイテッド航空(United Airlines)、チョコレートメーカーのハーシーズ(Hershey’s)、プロテイン飲料のコアパワー(Core Power)、体操用品のGKエリート・ジムナスティクス(GK Elite Gymnastics)などが後援に名を連ねている。これらのブランドがスポンサーシップで得た利益の大きさを考慮すれば、バイルズ選手のスポンサー料は上昇の一途だろう。
前述のアモビーによると、ケロッグ(Kellogg)がシリアル「スペシャルKレッドベリー(Special K Red Berries)」のパッケージにバイルズ選手を起用すると発表した途端、同商品に関連するデジタルコンテンツのエンゲージメントが37倍になったという。また、8月5日~15日における同ブランドへの全メンションのうち、90%がバイルズ選手に言及していた。