風光明媚!長距離特急「南風」に乗ってみた 4時間半で乗務員交替5回、無人駅にも停車
田園風景から再び24のトンネルが連続する山間に場面転換し、海岸まで一気に高度を下げると土佐久礼。JR区間になったとは言え「乗車券・特急券はホームで車掌が集めます」と放送が入った。四国では特急停車駅でも駅員無配置駅が散見される。そして須崎へ。中村以来の地方都市と呼べる規模の市街地に出合う。須崎から高知へは「南風12号」は36分。普通列車の半分とあって、自由席は8割方が埋まる盛況となった。
11時06分、木造ドームがシンボルの高架駅の高知に到着し、乗客が大幅に入れ替わった。岡山・高松を起点とする土讃線特急は高知までがメイン区間で、その先の窪川や中村方面は先端部分のようなイメージを持つが、じつは岡山~宿毛間の半分近い距離と所要時間を占める。それゆえ、高知を挟んで東西双方の流動がある。振子車両で高速性を発揮する列車は利用を得ている。
短距離移動の利用も
7分停車し、発車は11時13分。新たな乗客を迎えた姿は高知まで以上の乗車率である。指定席利用も増えて、だれもいなかったグリーン車には4人が乗車した。
土佐山田までは、土讃線では稀少な高知平野の平坦区間で、アンパンマン列車の「南風3号」と行き違った後免を挟み、最高速度の120km/hで疾走する。JR四国では自由席特急料金を50kmまで520円とし、さらに25kmまで320円の刻みを設けている。それだけに短距離移動の特急利用が定着している。土佐山田では、待避していた多度津行き普通に乗り換える学生もいた。
土佐山田から、進路を北に改めて四国山地を縦断する。JR四国最高所の繁藤駅までほぼ休みなく25パーミルが続き、ここも計23のトンネルと半径300m級の曲線で埋め尽くされている。そこをスラロームのような勢いで走り抜けてゆく。運転席背後は遮光幕が下げられ速度計は見えないが、およそ90km/hに達していよう。この速度感覚は繁藤から下りに移っても延々と続き、息をつがせない。
大田口で「南風5号」と行き違いの運転停車。さらに谷を縫い続け、長い大歩危(おおぼけ)トンネルをもって徳島県に入る。高知県は、300kmを超える全行程のうち200kmに迫る距離を占めていた。時刻は昼を回った。ホームにミニかずら橋がある大歩危ではわずかながら観光客の乗降があり、引き続き吉野川の峡谷に沿う。渓流を乗り切るラフティングボートに、2000系の走りっぷりが重なる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら