ダムは永久にエネルギーを生む「夢の装置」だ

新規建設なしで年間2兆円分、電力を増やせる

現在、日本の総電力供給量に対する水力発電の割合は8%ほどだ。私は日本のダムの潜在的な発電能力を引き出せば、30%まで可能だと試算をしている。これまで述べてきたように、方策は3つある。

第1に、多目的ダムの運用を変更すること。河川法や多目的ダム法を改正して、古い運用法を変えれば、ダムの空き容量を発電に活用できる。

第2に、既存のダムをカサ上げすること。これによって、新規ダム建設の3分の1以下のコストで、既存の発電ダムの能力を倍近くに増大できる。

第3に、現在は発電に使われていないダムに発電させること。このうち中小規模のダムについては後で述べる。

一般には、水力発電はもはや拡大の余地がない、あるいは、水力発電の拡大には巨大ダムの新規建設が必要で環境破壊を避けられない、というイメージのようだが、事実は違うことを説明してきた。巨大ダムの新設はもう必要ない。莫大な公共投資も必要ない。環境破壊も巨額の税金の投入もなしで、水力発電は何倍にも増やせるのだ。

中小水力発電の具体的なイメージ

すでに述べたように、日本には非常に多くのダムがある。大きなものでは、国が直轄している多目的ダムから、都道府県が管轄している小さな砂防ダムまでさまざまだ。そのどのダムについても、水力発電に利用できる。

ダムが大きければ発電量が大きくなるし効率も良くなるが、小さいダムでも発電は可能である。ダムの高さが10mクラスの小さな砂防ダムでも発電は可能で、100k~300kWほどの電力は簡単に得られる。

たとえば200kwというと小さすぎると思われるだろうが、実際にはバカにならない。なぜなら、砂防ダムの場合、ひとつの渓流でいくつも存在しているからだ。仮にひとつの渓流に5つの砂防ダムがあれば、そのすべてで発電できる。200kwだとすると5つで1000kwになる。

さらに、ひとつの川には、いくつもの渓流が支流として存在する。支流すべての砂防ダムの数を合計すれば数十になることも珍しくなく、そのすべてのダムを発電に利用すれば、何千kwにもなる。この発電を、過疎に悩む水源地域の活性化に生かすこともできる。

こうした状況が日本中の川で存在しているわけで、一つひとつの川のダムの発電量が数千kwでも、日本全国で見れば膨大な電力となる。日本には多数のダムがあり、全国で新たに中小水力発電に利用できる箇所は、調査によってさまざまな数字を挙げているが、どれも数千のケタに上る。たとえば、2011年に環境省が行った調査では、出力3万kW未満の水力発電を新たに開発可能な場所は2万カ所以上あり、そのすべてを開発すると、総電力は1400万kWに上ると試算されている。

中小水力発電の潜在力は非常に大きいのだ。

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