日本株が米国株に比べて魅力が薄いワケ 勢いだけでは相場は長続きしない

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中長期の株高持続にはROE上昇が不可欠

「日本の市場にはこれまで、売り方が自らの投資行動を正当化できる3つの根拠があった」。あるベテランの証券アナリストはそう話す。具体的には、1)株式市場の存在に否定的なスタンスの政府、2)決して本気では金融緩和に取り組まない日銀、3)株主の利益を増やすことは絶対にしない多くの日本企業、だという。

1)と2)に関しては、“絶対変わらない”という売り方の“信頼”が崩れつつあるが、もっとも問題なのは3)」と同アナリストは指摘する。「日本にはなぜ、株主資本利益率(ROE)が低いなどと言われなければならないのかと考えている企業経営者が多い」(同)。

 日本の上場企業のROEは今12年度予想ベースで6.1%。米国の16.5%を大幅に下回っている。中長期にわたって、海外勢や個人投資家の資金を日本株市場に引き付けるためには、企業トップの「変化」も欠かせない。

(撮影:尾形 文繁)

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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