4番目の「ディズニーホテル」はなぜ安いのか 日本屈指のホテルは東京ディズニーにあった

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立地もTDRまでは専用のシャトルバスで15分ほどの距離にある。当然、結婚式場といった設備はなく、客室単価も1泊で約3万円程度とやや安めの設定。いわゆるビジネスホテルや観光者向けホテルのような、宿泊特化型の作りになっている。

4軒のディズニーホテルを運営しているのは、TDRを運営するオリエンタルランドの傘下で、ホテル事業を統括するミリアルリゾートホテルズのグループ会社だ。同社はTDR周辺を地盤に8軒のホテル運営を統括している。

帝国ホテルより高い収益力

高単価・高稼働のディズニーホテルを抱えていることもあり、ミリアルリゾートの収益は目を見張るものがある。オリエンタルランドの開示資料によれば、2016年3月期のホテル事業は売上高631億円、同セグメント利益は138億円。帝国ホテルが売上高558億円、営業利益が40億円、ということに比べれば、その収益力の高さは際立っている。

同業を圧倒するディズニーホテルを持っているにもかかわらず、あえて宿泊特化型のディズニーホテルを展開する理由を、ミリアルリゾートホテルズの久保哲也・セールス&マーケティング部長は「ディズニーホテルとして、顧客の選択肢をもっと増やすため」と語る。

3軒のディズニーホテルは客室単価5万~6万円と、気軽に泊まれる金額ではない。ディズニーの世界観に浸ったり、15分前入園といった特典を得たいといった、幅広い顧客のニーズを満たすため、改装に踏み切った。「気持ちの面でも、財布の面でも、もっと使い分けてほしい」(久保氏)。

総額約40億円という改装の効果は大きい。それまで旧パーム&ファウンテンテラス時代の平均客室単価が2万円ほどだったのだが、リニューアルを機に1万円ほど上昇。客室の稼働率も大きく改善した。

もうひとつ、背景にあるのがTDRの好調ぶりだ。入園者数は1983年の開園当初は1000万人台だったのが、2001年9月にディズニーシーがオープンすると、初めて2000万人を突破。2014年以降は毎年3000万人を超える高水準で推移している。さらにオリエンタルランドは、2023年度までに約5000億円もの設備投資を行い、映画『美女と野獣』『ベイマックス』をイメージしたアトラクションを増設するなど、拡大路線を発表している。

こうした拡大路線を背景に、TDR周辺ではホテルの新築や改装・増築計画がラッシュを迎えている。このエリアのホテル開発ブームはしばらく続きそうだ。

(撮影:風間仁一郎)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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