法務省の市場化テストが頓挫した理由

入札不調で随意契約へ切り替え続出

だが、応札価格が入札成立の上限価格である予定価格を軒並み上回ったという事態は、そもそも予定価格が低すぎた可能性を物語っている。というのも、今回の予定価格が、業務を放棄した企業との契約額をベースに設定されているとみられるためだ。

法務省は応札する企業に今までよりも多めの人員配置を求めているが、このことは、職員1人当たりの賃金を切り下げざるをえなくなることを意味している。

働いている職員の実情は深刻だ。西日本の法務局に勤務する50代の女性職員の場合、1日8時間のフルタイムでありながら、現在の時給はわずか700円台で一時金もない。

加えて、4月から別の民間企業が業務を引き継ぐ際に、雇用が継続される保障もない。「運良く雇用がつながったとしても、その際にさらに給与水準が下がる心配もある。生活が成り立たないことを理由に、職場では私を含めて退職を検討している職員も少なくない」とこの職員は打ち明ける。

この職員の雇い主は、ここ数年の間に、民事法務協会から民間企業3社を経た後に、13年4月から別の民間企業に切り替わる。そのたびに雇用継続に一喜一憂せざるをえないうえ、有休休暇がリセットされるなどの不利益が発生している。「法務省は私たちの仕事を軽く見過ぎている」と前出の女性職員は憤る。

行政改革の名の下に、天下りとは無縁で立場の弱い職員が犠牲になっている構図がここにもある。

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