ペプチドリーム、創薬ベンチャーの「爆発力」 株価がストップ高!営業利益率5割の実力は?

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とはいえ、今期のような大量の新規契約が来期以降も継続するかどうかは、現時点ではわからない。

すでに共同開発では世界の大手製薬トップ20のうち9社(グループ会社含む)と契約済み。技術ライセンスも、米ブリストル・マイヤーズスクイブ、スイスのノバルティス、米イーライリリーの3社と結んでいる。新たな契約をとっていくのは、だんだん難しくなっていく。

それに、利益があがればその分、インフルエンザ治療薬の前臨床試験やがん治療薬など、2ケタにのぼる自社創薬のパイプラインの進展のため、資金を投下することになるので、業績がうなぎのぼり、というわけにはいかないだろう。さらに現在、東京大学駒場キャンパス・先端科学技術研究センター(東京都目黒区)の中にある本社・研究所が手狭になっており、2020年には神奈川県川崎市の殿町国際戦略拠点・キングスカイフロントに、新本社の建設・移転を計画している。総投資54億円(用地は2015年6月に10億円で取得済み)、延べ床面積8500平方メートル、研究者200人のキャパとなる。ちなみに2015年末の全従業員は52人だ。これらの先行投資もかさむ。

薬を患部に届けるアイデアも

一方、もうひとつ、新しいビジネスの柱に育ちそうなタネが現れてきた。

PDPSでできた環状ペプチドのうち、薬の候補にならないものがある。これを「DDS」(ドラッグ・デリバリー・システム)、つまり薬を患部に直接届ける”運び屋”として使おうというアイデアだ。

たとえば、これまで副作用などの全身反応が強く使いにくかった強い抗がん剤も、標的とする特定の腫瘍細胞に薬を直接届けることができれば、副作用が少なくなって使いやすくなる可能性がある。医薬品そのものではないが、新しい医薬品を生み出すブースターになる可能性が高まっている。「まだどの程度のビジネスに育つかわからないが、新たな柱になる可能性は十分ある」(関根喜之取締役)。

優良なビジネスモデルを持つ創薬ベンチャーとして、上場当初から注目を集めてきたペプチドリームが、本物のグローバル創薬企業となるかどうか、これからが本番だ。

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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