怒濤の海外進出、カルビーを動かす危機感 インドネシアにも橋頭堡

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そしてインドネシアへの本格進出から、カルビーは「第2フェーズ」に入る。中国と同様の方法、つまり現地で強力な販路を持つWingsグループと合弁を設立し、ペプシコと真っ向から勝負する。

オーナー経営から外資流へ”転換”

松本晃会長

そもそも、なぜカルビーがここにきて矢継ぎ早に事業リスクの高い海外展開の加速を進めているのか。それは他のメーカーと同じように、少子高齢化で経済が縮む国内事業に、危機感を持っているからに他ならない。加えて、経営の“転換”がある。09年カルビーの経営は、創業者の松尾一族からジョンソン&ジョンソン出身の松本晃・現会長に実権が移った。いわば鷹揚なオーナー経営から、外資流に転換したのである。

今期多くの食品・菓子メーカーが減益決算を強いられる厳しい市場環境の中、カルビーの12年3月期決算は震災影響をはねのけ前期比14%の営業増益と好調。国内スナック菓子のシェア奪取・工場稼働率の向上を背景に、今期(13年3月期)も大幅増益が見込まれる。

ドラスティックなコスト削減策とシェア拡大への積極的な販促が奏功し、国内一人勝ちのカルビーだが、将来的な少子高齢化による国内市場の縮小は避けられない。また、海外のスナック菓子メーカーが国内市場に本格参入する前に海外に収益基盤を築きたいという強い危機感がある。

松本会長の指揮のもと、カルビーは20年までに海外売上高比率30%という目標を掲げる。海外の他の地域に対しても果敢だ。先日、一部報道で英国メーカー(ユナイテッド・ビスケッツの製菓事業)の買収が取りざたされるほど。欧州、ロシア、オーストラリア、ベトナムなどの地域も現在複数のルートで水面下の交渉が進められており、これらの地域の具体的な計画も近々発表される可能性が高い。

「第3フェーズ」のインド、ブラジルも14年4月から具体的に戦略が策定される見通しである。カルビーの怒涛の海外進出ラッシュは当面続きそうだ。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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