勝ち組・日立、「中国失速」と「事業売却」で陰り

三菱重工からは3800億円もの巨額請求も

2012年に火力事業統合を発表した、日立の中西宏明社長(右)と三菱重工の大西英明社長(いずれも当時。撮影:山内信也)

ただ、他社との提携では、問題も発生している。2014年2月に設立した日立と三菱重工業の火力事業の合弁会社、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)だ。出資比率は三菱重工が65%、日立が35%と、三菱重工が過半を握っている。

合弁相手の三菱重工は2016年3月31日、日立の子会社が2007年に受注した南アフリカ共和国での火力発電プロジェクトを巡り、損失分として、約3800億円を日立が負担する義務があるとし、支払いを請求した。MHPS設立時、同プロジェクトにおいては、新会社が資産・負債などを継承。一方で、設立以前の損失については、日立が責任を負う契約を締結していたためだ。

これに対して日立は4月6日に「本請求は契約に基づく法的根拠に欠けるものとして、請求には応じられない」と回答。両社、話し合いを続ける方針を示しているが、和解の道筋はまだ見られない。そもそも同プロジェクトを巡る議論は、2014年のMHPSの設立時から行われてきたという。三菱重工の宮永俊一社長は、「前期末までに何らかのメドをつけようと、一生懸命やってきたが、折り合いがつかなかった」と語り、5月9日に決算短信上で公表した理由を説明する。

矢継ぎ早の提携にはどこかで躓きも

MHPSはスタートラインに立ったばかりの会社である。日立出身で、設立時にMHPSに転籍した藤谷康男取締役は、今年4月の東洋経済の取材で、「この2年間は融合を進めてきた。4月に人事制度もできるので、(融合は)一区切りだ」と語り、ようやく1つの会社として動き始めたと、安堵した様子だった。

順調にいっていたかのように見えた合弁も、今後の展開によっては、両社に亀裂を生じかねない。日立の西山光秋CFO(最高財務責任者)は「亀裂は入っていない。合弁会社としてはきちっと仕事をやってもらっている。親会社のディールの話だ」ときっぱり言う。

中国など外部環境の悪化と、戦略的な事業の切り売りで、目先は減益を見込む日立。仮に約3800億円を支払うことになれば、業績にも相当程度の影響を及ぼすのは避けられまい。これまで大手電機では「勝ち組」とされ、業務提携や合弁会社設立を矢継ぎ早に進めてきた日立。だが、事を急ぐあまり、どこかで今回のケースのような案件がひずみとなって出てくるかもしれない。

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