羽田空港アクセス、先行する新鉄道路線は? 3路線に絞り込まれた候補、利害関係が錯綜

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が、自治体関係者などは、記述のニュアンスによって、プロジェクトの評価に差をつけていると受け止めているようだ。答申書を読むと、「合意形成を進めるべき」、「十分な検討が行われることを期待」などと記述されている。二つの表現を比較すると、前者のほうにより積極的な姿勢が感じられるというわけだ。

蒲蒲線計画を推進している大田区の松原忠義区長は、答申案の公表を受けて、「(蒲蒲線が)高い評価をいただいたことは、大変喜ばしく思っている」とのコメントを発表。その中で、都内を走るプロジェクトのうち、「べき」と表現されている路線は六つしかないと述べており、それに含まれる蒲蒲線の実現度は高い、と受け止めていることがうかがえる。東京都都市整備局の担当者も「『べき』と記述のある路線が、検討が進んでいると考えられているのだろう」と見通す。

羽田空港アクセス線に高評価

そうした見方をすると、答申に盛り込まれたプロジェクトの中で最も可能性が高そうなのは、「事業計画の検討の深度化を図るべき」と表記された、羽田空港アクセス線になるだろう。

同線はJR東日本が2014年に構想を公表。羽田空港国内線ターミナルへ乗り入れる新線を整備し、東海道線、りんかい線などに乗り入れることによって、渋谷や新宿、東京、新木場方面から羽田空港までをダイレクトに結ぶ計画だ。概算事業費は約3200億円。既存の休止路線などを活用することから、答申書でも「全線を新線で整備する事業よりも早期の整備が可能」と指摘されている。

同線については都も検討に前向きな姿勢を示していた。2015年7月に都は今回の答申に向けた鉄道整備についての考え方を発表。この中で羽田空港アクセス線を「整備について優先的に検討すべき路線」に挙げた。前出の担当者も、「空港アクセスとしては、いちばん効果が高いと考えている」と語る。

答申でやや前向きな記述となったのが蒲蒲線だ。

同線は東急多摩川線と京急電鉄の線路幅が異なるために直通運転に課題が残る。都は2015年7月の段階で、費用対効果の点から優先度を一段下に位置づけた。だが今回の答申では、約800メートル離れた蒲田駅と京急蒲田駅を結び付ける役割を担う矢口渡─京急蒲田間については、「費用負担のあり方などについて合意形成を進めるべき」と、踏み込んだ表現がなされた。

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