トラブル急増!遺品整理「業者頼み」の盲点 契約前、契約後、作業時…「火種」は多数!
では、業者が勝手に処理することはできないのか。
「遺品整理業者が遺品を搬出したり買取することのできる根拠は、新たな所有権者である相続人と契約を締結しているからであって、遺品整理業者の独断でやれるわけではありません。
ですから、相続人が複数いる状態で、1人の相続人と遺品整理業者が遺品整理契約を締結すること自体が、他の相続人の所有権を侵害する可能性があります。相続人が複数存在する場合には連名で契約を締結するか、他の相続人の同意書をとっておく等の準備は必要だと思われます。
見積書についても物品の搬出だけなのか清掃も含まれるのか、家電リサイクル料金も含まれているのか、現金や貴金属などが発見された場合の買取等について明確になっているかは確認すべきでしょう。
業者によっては見積と同時に作業に着手する『スピード』を売りにしている場合もありますが、このような場合、契約締結の自由も事実上無く、強制的に作業に着手される場合もありますので、見積もりと作業日は別にするべきだと思われます。
作業当日に見積を大幅に超える追加料金を請求された場合には、契約内容と異なることを理由に断るべきです。業者がそれでは作業を中止すると言うような場合には債務不履行による損害賠償を請求する旨を主張すべきです」
作業前に写真撮影をしておいたほうがいい
もし無断で処分された場合、損害賠償を請求することはできるのか。
「買取の合意をしていない遺品について、遺品買取業者が無断で持ち去る行為は相続人の所有権侵害行為ですので、所有権に基づく返還請求、返還されない場合には損害賠償請求が可能です。
ただし、実際には物品の無断持ち出しを立証することは難しいことが多いと思われます。トラブル防止のためには、作業に立会を行う必用がありますし、作業前の写真撮影をしておくこともお勧めします。
相続人のいない(若しくは全員が相続放棄した)独居者の死亡の場合には、債権者などからの申立により相続財産管理人が選任され、相続財産管理人が財産の処分管理を行うことになります」
福村弁護士はこのように話していた。
関東弁護士連合会・消費者問題対策委員会元副委員長、埼玉弁護士会消費者問題対策委員会元委員長、安愚楽牧場被害対策埼玉弁護団団長
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