質問④ :バークシャーは物言う株主(アクティビスト)の標的になる危険性はないか。
答え:アクティビストが要求しがちな「傘下企業の分離」は大きな損失になる。割安になった時にアクティビストの買いが予想されるが、我々は実質価値の1.2倍まで株価が下がったら自社株買いを行うことを決めてます。以前ほど、標的になることを心配していません。傘下企業はキャンディや靴メーカーから鉄道、電力会社まで多岐にわたり、巨大な規模になっていて、もしそれらを分離しても魅力的なリターンをとれないのです。我々の株主はバークシャーの優位性や企業文化をよく理解している。また私亡き後、私が保有するバークシャー株式持ち分は最大の株主になるので、アクティビストから守る役割を果たすだろう。
米国でアクティビストの影響力が増しているのは確かですが、バークシャー株主の支持は厚く、さらにバークシャーは実質価値の1.2倍で自社株買いを実行することを公表しているので、アクティビストが入り込む余地は少ないでしょう。
バフェットが社員や役員に求める「3つの能力」
質問⑤ : アニュアルレポートの従業員(編集部注:同社の全社員は25名)の写真を見ると、多様性に欠けるように見える。取締役メンバーや社員に、もっと多様性を持たせるべきではないか。
答え:来年のアニュアルレポートの社員の写真は、昨年、今年と変わらないでしょう。私は「3つの能力」を取締役会メンバーや社員に求めています。つまり、仕事に熱心で、株主に目線が向いていて、バークシャーに特別の個人的利益を持つ人です。私自身、有名人や金銭目的の人物は取締役会メンバーに求めていません。
表向きでは、バークシャーが人材の多様性に欠けているとみられるのも、ある面でやむを得ないといえるでしょう。しかしバフェットに多様性について特別な偏見があるようには見えません。現在の状態は、自然の成り行きでなったとみてよいでしょう。一方でバフェットの取締役会メンバーや社員に求める条件は、日本企業に大変参考になります。
私にとって3回目のバークシャー・ハサウェイ株主総会への参加でしたが、終わってみると、日本では経験できない大きな充実感を覚えます。
これはきっと、人間にとって最も通じる真理をバフェット、マンガ―が語っているからと、私なりに理解しています。だからこそ、バフェットは600億ドルを超える巨額の富を天から与えられたのでしょう。
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びとう みねお / Mineo Bito
びとうファイナンシャルサービス株式会社代表取締役。1978年早稲田大学法学部卒業、日興証券入社。1999年まで21年間在籍、英国やカナダ、豪州でも勤務。2000年独立し会社設立。金融機関から完全に独立した資産運用アドバイザーとして活躍中(投資助言・代理業登録、関東財務局)。著者に『いまこそ始めよう 外国株投資入門』『バフェットの非常識な株主総会』などがある。
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