日本の観光・航空産業は成長余地に恵まれている--IATA事務総長兼CEO トニー・タイラー

──日本政府は外国人の訪日旅行を主体に、観光を成長戦略の一つに掲げています。

英国機関の調査によると、日本の観光を含む航空産業はGDPの1%を占め、金額にして4・5兆円程度。雇用でも1%(61万人)の貢献をしている。これだけでも大きいと思われるかもしれないが、お隣の韓国ではGDPの2・2%、全雇用の2・1%を占めている。日本同様に経済規模の大きな国であるドイツを見ても、韓国同様に2%だ。

日本の航空産業は経済成長や社会の発展に、もっと貢献できると考えている。成田や羽田、関西国際などの日本の空港は過去に大きな改善策が実施されたが、それでもまだ非常に高コストであることに変わりはない。ある民間調査では、関空のコストは世界で2番目に高く、成田は6番目だ。日本の競争力強化のためにさらなる改善が必要だろう。

こうしたインフラの改善が進展すれば、航空産業はより多くの貢献ができ、外国人の訪日観光や海外ビジネスとのつながり、さらには貨物輸送の拡大も期待できる。日本政府の観光戦略のコンセプトはよく理解できるので、空港や観光当局が取り組むならIATAもお手伝いしたい。

──海外並みになれば、観光を含めた日本の航空産業は2倍になるのでしょうか。

そうですね(笑)。一夜では起きないが、日本には成長の余地があり、条件はそろっている。例を挙げれば、香港は700万人の人口に対し、昨年度の航空旅客数は5400万人だった。日本の首都圏人口は香港の5倍の3500万人だが、羽田、成田の旅客数は9500万人と2倍でしかない。日本と香港を同一条件では見られないが、それでもこれだけの差があり、日本の潜在力は高い。

(聞き手:鈴木雅幸、野村明弘 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年10月13日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

Tony Tyler
英オックスフォード大学卒業後、1977年に香港スワイヤー商事に入社、2007~11年に同グループのキャセイ・パシフィック航空のCEOを務めた。11年7月から現職。
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