スマホに押されるウォークマンに込めた、ソニーのブランド戦略
ソニーは9月20日、ウォークマンの新製品11機種を発表した。OSに「アンドロイド4.0」を搭載した「Fシリーズ」では、Wi−Fiに接続することで端末から楽曲を直接購入することが可能。さまざまなアプリが楽しめることに加え、ソニー独自の高音質技術を採用したことでウォークマン史上、最高クラスの高音質を実現している。
国内の携帯音楽プレーヤー市場に目を向けると、縮小均衡が続いている。スマートフォンで音楽を聴く人が増えており、逆風は強まる一方だ。2011年度は年間販売台数560万台と600万台を割り込み、12年度は450万台程度が見込まれている。
「今後も、携帯音楽プレーヤーの市場縮小は続く」(ソニーのホームエンタテインメント&サウンド事業本部、高木一郎副本部長)。厳しい見通しでも、ソニーが10代の若者をターゲットに据えてウォークマンを強化する背景には、ブランド戦略がある。「10代の人達に“マイファーストソニー”としてウォークマンに接してもらい、高音質な世界観を定着させて将来的なユーザーになってもらう」(高木氏)。
目下、ソニーの戦略は狙いどおりに進んでおり、「日本でのウォークマンのシェアは18カ月連続でシェア1位」(ソニーマーケティングのモバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部、徳田耕一氏)。「ミュージックプレーヤーといえば、どのブランドを思いつきますか?」というブランド調査でも、2010年に33%だったシェアは11年に43%まで上昇。アップルは56%(10年)から42%(11年)に落としている。
マーケティング戦略では、昨年に続き今年も歌手の西野カナ(上写真の右側)を起用した広告宣伝で10代にターゲットを絞り込む。若者こそスマホで音楽を聴きそうだが、バッテリー容量を気にして2台持ちするユーザーは多いという。