札幌市民が「北海道新幹線」をスルーするワケ 延伸ははるか15年後、待望の声も聞かれず…
逆に、昨春開業の北陸新幹線は、予想を上回る大成功を収めたことを受けて敦賀までの延伸開業3年前倒しの方針が打ち出されている。「距離が長いことや長大トンネルが続くことなどの要素があるので、15年後からの前倒しは難しいと思う」(札幌市新幹線推進室)としながらも、新函館北斗までの開業の成功が札幌延伸に前向きな影響をもたらすことは間違いないだろう。
こうした事情も踏まえて、札幌としては今回の開業を“函館止まり”の他人事とするのではなく、ひとつのきっかけとして“新幹線待望”の機運を盛り上げていく必要があるというわけだ。
そこで、札幌市では“馴染みの薄い新幹線”について市民に関心を持ってもらうべく、新幹線沿線自治体(延伸後の沿線も含む)と共同で新幹線の概要を解説するパンフレットを制作・配布している。
これは『ボクと新幹線』というタイトルで、内容は小学生向け。ただ、中身を見てみると、既存の新幹線路線の紹介から車両、新幹線の技術的な特徴の解説、さらには新幹線開業が北海道にもたらす影響をプラス・マイナス両面から説明するなど、子ども向けとは思えないほど充実したものになっている。
子どものうちから関心を
「今の小学生は15年後には大学生、社会人になっています。その時に彼らが親しみを持って新幹線に乗ってもらえれば。そういう環境を作るために、今からやっていく必要がある。今回の開業をきっかけに、今まで馴染みの薄かった新幹線についてよく知ってほしいと考えています」(札幌市新幹線推進室)
新幹線をはじめとする鉄道は子どもたちの関心が高いテーマのひとつ。彼らが興味を持てばその親世代も自然と新幹線に関心を抱くようになり、“函館まで乗りに行く”という影響も生まれる可能性がある。さらに、札幌まで延伸する15年後には大人になった彼らが積極的に新幹線を利用するようになる――。まさに“先を見据えた”取り組みということになる。
また、こちらも沿線自治体と共同で、観光案内パンフレットも制作している。もちろん新函館北斗から札幌までの区間の沿線となる自治体を含めて、一体となって利用促進を図ろうというわけだ。
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