鉄道会社はいつから「ホテル屋」になったのか 今やどこの駅前も鉄道系のホテルだらけ

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横浜駅西口に建つ「横浜ベイシェラトン」(撮影:今祥雄)

国内における同社のホテル展開は、1998年に開業した横浜駅西口のフラッグシップホテル「横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ」が最初。高級ホテルの展開としては、大手私鉄の中では後発組だ。

現在主力となっている宿泊特化型の展開でも、相鉄は出遅れた。京王の宿泊特化型ホテル「京王プレッソイン」のスタートは2002年。これに対して、相鉄がフレッサインの1号店をJR大船駅のそばに出したのは2007年のことだ。

「新規事業の種を探していたとき、たまたま大船にコインパーキングがあった。駅前の『ホテルメッツ』(JR東日本グループが展開するホテル)が好調という話もあり、この土地でホテルをやってみようかということになった」(相鉄の担当者)

ふたを開けてみると、予想を超える好調ぶり。「これはいける」と、相鉄はホテルの多店舗展開に舵を切った。当初は湘南台、戸塚など神奈川エリアが中心だった。が、ホテルの主戦場である東京で勝負しなければ、もう一段の成長は望めない。2011年の東京・浜松町以降は、都心での出店が中心となる。

鉄道会社がホテルに注力する理由

鉄道会社の場合、自前の土地を使ってホテルを展開するケースが多い。しかし、店舗展開のスピードを重視する相鉄は、自社保有にこだわらず、他社の土地・建物を借りるという運営手法も積極的に取り入れた。この結果、フレッサインは瞬く間に施設数を16まで増やした。

思わぬ追い風も吹いた。JTBが、傘下に抱える大手ホテルチェーン「サンルート」を売りに出したのだ。ホテル拡大を急ぐ相鉄にとって、まさに渡りに船。2014年9月、相鉄はサンルートをグループに引き入れた。これにより、客室数でアパホテル、東横イン、ルートイン、プリンスホテルに続く国内5位に躍り出た。

鉄道会社がホテル展開に力を入れる理由はどこにあるのか。

沿線で増え続ける人口をターゲットにさまざまな事業を展開し、鉄道以外の事業分野からも人口増の果実を満喫する――。阪急電鉄の創業者・小林一三氏が考案したビジネスモデルは、流通、レジャー、宅地分譲など多くの分野に広がり、ほかの鉄道大手も同様の戦略を進めてきた。

ただ、ホテルだけはこのモデルに当てはまらなかった。沿線住民は沿線のホテルには泊まらないからだ。

ホテル運営は沿線住民の懐を当てにするというより、自社所有地の有効活用という側面が強い。相鉄を例にすると、横浜ベイシェラトンは旧本社跡地に建てられたし、フレッサイン1号店も自社グループの土地だった。JR東日本のホテル展開も自社所有地が基本だ。

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