スズキ「イグニス」乗ってわかった本当の実力 このコンパクトカーは侮れない
このクルマ、どことなく不思議な感じがするのだが、中身はいたって堅実。ターゲットも、若者向けかと思いきや、「幅広い層」としている。黒と白のわかりやすいコントラストや、ボディカラーに合わせたアクセントカラーパネルをあしらうなど、シンプルながら遊び心を感じさせるインテリアも、クルマのキャラクターによく似合っている。
収納スペースも充実していて使い勝手もよさそうだ。また、メーカーオプションとなるメモリーナビゲーションは、日本車としていち早く、日本でも人気の高いアップルのスマホ「iPhone」と連動して音楽や動画、地図などを操作できる“Apple CarPlay”に対応したことも特筆できる。
このサイズゆえ室内空間は限られるが、それを少しでも有効に使おうと努力したことや、室内や荷室の各部のつくりも、実際の使われ方に大いに配慮していることがうかがえる。
後席の居住性や荷室の広さは、コンセプトの違いだろうが、スイフトを上回るほど。リアシートは左右独立して前後スライドが可能となっているし、荷室の広さもまずまずだ。また、サイドシルとフロアの段差が低く、ドアの内張りがあまり出っ張っていなくて、とても乗り降りしやすことにも気がつく。
乗り心地は?
ドライブすると、細かい指摘もなくはないが、全体としては気になるところもなく、そつなくまとまっている。思えば最近のスズキのクルマは、例外的な車種を除いて、乗り心地に関しては特段の大きな不満を感じない。
軽自動車でライバル関係にあるダイハツ工業やホンダがフットワークのよさを訴求しようとして、やや硬めの乗り心地になっているのに対し、スズキはそうではない。そのあたり、とても良心的でよいと思っていたのだが、イグニスにもそれが当てはまる。
排気量1.2リッターのデュアルジェットエンジンと副変速機付きCVT(無段変速機)の組み合わせによる動力性能は、同CVTの宿命といえる初期応答の鈍さは見受けられるものの、ふつうに乗るぶんには大きな不満はなく、1.2リッターという排気量の割にはよく走る印象だ。
全車がモーターでエンジンをアシストして燃費を向上させる「マイルドハイブリッド」仕様となっており、スズキが軽自動車ではすでに定着した「エネチャージ」と呼んでいるものと仕組みは同じだが、軽自動車以外には、よりわかりやすい「ハイブリッド」という言葉を用いている。
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