【産業天気図・造船・重機】造船・重機は量産品低迷が想定以上、プラントには曙光
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
造船・重機械業界全体としてはいまも閉塞感が漂うが、プラントなど一部には晴れ間が見えている。
大手総合重機メーカーは、量産品部門の想定以上の苦戦に足を引かれることになった。総じて、受注品に関しては手持ち工事が豊富だが、見込み生産の量産品では経済環境の悪化による打撃が予想以上のものとなっている。
三菱重工の4~6月期(第1四半期)の営業利益は38億円と、前年同期比で8割以上の減益となった。その最大の要因は自動車向け過給器(ターボチャージャー)やフォークリフトなどの不振で、量産品セグメントが150億円の営業赤字(前年同期は63億円の黒字)に陥ったことだった。同社では今10年3月期には通期で400億円超のコストを削減する合理化計画を実施しているが、量産品の不振が下期も続くようであれば追加策に踏み切る構えだ。自動車向け過給器で三菱重工と世界3位の座を争うIHI<7013>でも、エネルギー・プラント部門の業績改善が進んだ分を、過給器の不振で食われている。
川崎重工<7012>では大型二輪の販売不振が厳しい。とくに北米市場が期初の想定以上に低迷しており、米国工場の人員減などコスト削減に取り組んでいる。同社では、中期的に2輪部門の中心を米欧向けの大型車から新興国向けモデルに移す構えで、タイ工場をグローバルな生産拠点と位置付ける。タイ工場での2輪生産台数は、来期にも国内工場での生産を上回る見通しだ。
一方、造船業界では今なお、新規造船の商談はほとんど止まったままだ。リーマンショック以前は空前の受注ラッシュだっただけに、なお3、4年分の受注残は残っている。ただ、13年頃からは生産能力の過剰問題が表面化すると見られている。とくに中国、韓国勢による価格攻勢が予想され、日本メーカーは省エネや環境対応での差別化がカギになる。
プラント会社では、低迷していた原油価格の反転や、鋼材価格の下落などを受け、中東などで延期・凍結されていた案件が動き出した。国内最大手の日揮はアルジェリアとアブダビで大型受注を獲得。受注額は7月までに3700億円に達し、通期5000億円の計画達成をすでに射程内に収めた。千代田化工建設<6366>もサウジアラビア、マレーシアで大型受注を固めている。
(西村 豪太)
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