その差歴然、ユニクロが多い路線・少ない路線 都内の路線別店数を調査してわかったこと

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北千住駅の駅ビル。足立区内では最大の利用者数を誇る駅だ(写真:YNS/PIXTA)

都心部からやや離れると「駅近」ではない店舗がちらほら現れるようになる。たとえば江戸川区。3つある店舗の全てが駅から離れており、いずれも徒歩では10分かそれ以上かかる場所にある。

同区は南北に長い地域でありながら、区内を走る鉄道である京成線、総武本線、都営新宿線、東京メトロ東西線、京葉線の全てが東西方向に伸びており、南北方向の公共交通はバスに依存している地域だ。

ほかの区でも同様の例が見られる。足立区内の店舗も、北千住駅直結の「ルミネ」に入った店舗以外は、駅からやや離れた場所に位置しているほか、板橋や練馬、杉並、世田谷などの各区にも、駅からやや離れた店舗が存在する。具体的に挙げれば、全ての店舗が駅に隣接、または極めて近くにあるのが新宿・渋谷・港・豊島・中央・千代田・墨田・台東・文京・荒川・北・中野の12区で、それ以外の11区には駅からやや離れた店舗が存在している。

昼夜間人口で見える都心と郊外の差

すべての店舗が「駅近」の区に共通するのは何だろうか?実は、これらの区は荒川・北・中野の3区を除けば、夜間の人口よりも昼間の人口のほうが多い。つまりは「住むところ」より「働くところ」の性格が強い区なのだ。昼の人口のほうが多ければ、それだけ「住む人」が少なく「働く人」が多いことになる。例えば千代田区は23区の中で人口が最も少ない約5万5200人だが、昼間の人口は夜間人口を100とした場合でなんと1738.8に達する。それだけオフィスなどが多いわけだ。

これに対して、周辺部の11区は昼間人口より夜間人口のほうが多く「住む場所」としての性格が強くなる。例えば前出の江戸川区は夜間人口を100とした場合の昼の人口が84.1で、区外へ通勤する人が多いことを示している。都心に近いとはいえ「郊外」の性格が強くなってくるのだ。駅付近の通勤客、乗り換え客というよりは、地元客を中心とした郊外タイプの店が並ぶエリア・・・・・・といったイメージが浮かび上がる。ちなみに、荒川・北・中野の3区は夜間人口が昼間の人口を上回るが、その中でも比較的差が小さい方に入る。都心部と郊外の性格を併せ持つ地域といえそうだ。

全国でお馴染みのチェーン店が並び、画一化が進んでいるように見える都市部や郊外の風景。だが、どこにでもあるイメージのチェーン店が実はなかったり、少なかったりと、細かな地域差は今も各地に存在する。

最近では鳥取県への進出で全国47都道府県への出店を果たした「スターバックス」が、実は荒川区・江戸川区には1店もないといったことが話題にもなった。見慣れたチェーン店でも、どの駅の近くにあったか・・・・・・と思い出してみれば、地域や路線の意外な姿が見えてくるかもしれない。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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