井阪隆一 セブン−イレブン・ジャパン社長--値引き販売は広がらない、規模拡大でコスト吸収

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--弁当の値引き販売に関連して、消費者の間では「もったいない」の意識が高まっています。廃棄を減らす工夫を何か行っていますか。

以前からチルド弁当のテストを続けています。牛丼や中華丼、ハンバーグ弁当などを低温度帯のチルド弁当にすると、通常24時間の消費期限が72~96時間まで延ばせます。総菜もパウチにすることで消費期限は2日から1カ月になりました。今回、値引き問題関連の報道で浮かび上がった「もったいない」というテーマは、われわれにとって重要であると受け止めています。

一方で、値引き販売はお客様のニーズも見切ってしまうと考えます。たとえば、朝3時に家を出て釣りに行くときに、おにぎりを買おうとコンビニに立ち寄ったら商品が残っていなかったというケース。そうなると、コンビニは何のために存在しているのでしょうか。だから、見切らなくても済むシェルフライフ(販売期間)を実現すれば、「もったいない」を解決しながら顧客ニーズも裏切らないようにできると思います。そういう商品が増えれば、1日3便体制を見直す可能性もありますし、製造、配送、販売のあり方を変えていく必要があると思っています。たとえば、一工場当たりのアイテム数を減らして生産効率を上げれば、お客様にも価格面でアドバンテージを感じていただけるし、加盟店の利益率も上昇します。 

--3月から続けざまにおにぎり100円セールなどの販促やキャンペーンを打ち出しています。

最近はお客様が商品や買う場所を峻別される時代です。今期は店に足を運んでいただくことに軸を移しています。黙っていればお客様は減っていく。お店の売り上げが下がれば発注も消極的になる。来店されたお客様は、欲しい商品がないのでがっかりして足を運ぶ頻度が減る。このネガティブスパイラルがいちばん怖いのです。だから、勇気を持って発注し積極的な品ぞろえができるよう背中を押してやるということです。

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