預けたお金を返してください! 矢吹紀人著
ゼロ金利でも庶民が銀行におカネを預けるのは、安全以外に目的はない。なのに通帳やカードが盗まれ偽造されて虎の子の預金が引き出されてしまったら……。
印鑑の偽造、暗証番号の読み取りなど、電子機器の発達で犯罪者が銀行をだますことなど朝飯前になっているのに、銀行側のガードは一貫して甘かった。これは、預貯金過誤払いにまるで他人事だった金融機関に、被害者たちが集団訴訟で立ち向かった涙ぐましい闘いの記録である。
この種の犯罪はなぜか銀行が被害者で、預金者は被害届けが出せない。なのに、銀行は警察に届けを出そうとせず、弁済もしなかった。判例では勝ち目のない訴訟にまず弁護士たちが立ち上がり、メディアを巻き込み、国会議員も動いて法制化がなった経緯には救われる気もするが、まだ抜け穴は多い。
犯罪者の知恵は先へ先へと進む。問題の本質は預金犯罪より預金の保護にあるとの指摘は、今後の問題としても重要である。(純)
あけび書房 1680円
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