最悪期を迎えたトヨタ、新体制で拡大路線と決別

最悪期を迎えたトヨタ、新体制で拡大路線と決別

「問題解決のスピードが十分でなかったと反省している」。5月上旬にトヨタ自動車が実施した決算会見。渡辺捷昭社長は記者団を前に、率直な感想を述べた。

その言葉どおり、今2010年3月期の業績見通しは衝撃的な内容だ。会社予想は8500億円の営業赤字で、前期の4610億円から倍近くに膨らむ。ホンダやスズキは100億円の営業黒字に回復し、日産自動車でも1000億円に営業赤字が縮小する見通しだ。トヨタも決算発表前のコンセンサス予想では、せいぜい3000億円程度の赤字が見込まれていただけに、悪化度は群を抜く。

赤字拡大の2大要因は「販売減」と「円高」。今期の連結販売台数は650万台(上期295万台・下期355万台)と、前期から107万台も縮小し、8000億円のマイナス要因となる。為替は1ドル95円、1ユーロ125円想定で、円高の影響で4500億円が目減りする。これらを固定費削減など緊急収益改善による、8000億円のプラスでカバーし切れない。

この数字を見て一様に上がったのが、「弱気」(外資系アナリスト)という声だ。いくつか期待されるプラス要因を織り込んでいない。

まず環境対応車(エコカー)への政府支援の効果。現在、補正予算案で国会審議中のスクラップ・インセンティブ制度では、廃車に伴うエコカー購入補助により、業界で年間69万台の需要増をはじくが、トヨタは見込んでいない。今月発売の「プリウス」には予約が殺到、納車が夏以降という人気ぶりなのに、だ。

また一時は1ドル101円、1ユーロ135円まで進んだ円安メリットも含めていない。下期には、主要原材料である鋼板の再値下げがうわさされるが、現時点では考慮できず。さらに前期は北米市場低迷で、ローン貸し倒れやリース残価の損失引当金を2400億円繰り入れたが、これは失業率は高め、中古車価格も底値の前提で算出している。実現損が少なければ、今期はプラスに戻し入れられる。

「上振れは正直あると思う」(木下光男副社長)。第4四半期以降は黒字に転じると、別のトヨタ幹部も認める。

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