瀬戸際のパイオニアに、ホンダが出資する理由
パイオニアが4月末、経営再建を懸けた中期経営計画を発表した。2月のプラズマテレビ完全撤退に続く追加施策で、国内外20工場のうち半数の閉鎖・規模縮小や、東京・目黒本社含む資産売却などが柱。固定費削減で2009年3月期の最終赤字1290億円を、11年3月期には黒字転換する計画だ。小谷進社長は「痛みのある改革だが、不退転の覚悟でやり遂げる」と語った。
壮絶な再建計画以上に話題を集めたのが資本戦略。ホンダを引受先に約25億円の第三者割当増資を実施し、13・35%保有する筆頭株主のシャープに続く、第2位株主(6・54%)として迎え入れる。ホンダは通信機能を融合した高付加価値車載機器「インターナビ」のサプライヤーであるパイオニアに研究開発原資を与え、経営支援を行う。
だがパイオニアは巨額のリストラ費用などで、10年3月期は純資産300億円(09年3月期末1130億円見込み)まで財務内容が悪化するのは確実。自動車不況の中、主軸事業である車載機器も展望は厳しい。それでもホンダの近藤広一副社長は「得意分野をさらに強くする意味があり、パイオニアの要請もあって出資する」と説明する。
公的資金を呼ぶ“見せ金”
ホンダの25億円出資は、さらなる増資を得るためのいわば“見せ金”ともいえる。
4月下旬の改正産業活力再生特別措置法(産活法)の成立で、公的資金を一般企業に注入することが可能になった。パイオニアは半導体大手のエルピーダメモリなどとともに、5月中にも適用申請を行い300億円規模の資本調達を図る見通しだ。