ソニー「急回復」でも見えない5年後の稼ぎ方 リストラの果てに得た高収益の実態と課題

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狙いは「結果責任・説明責任の明確化」「持続的な利益創出を念頭に置いた経営」「意思決定の迅速化と事業競争力の強化」の3つだというのが平井社長の言い分だ。要は責任を明確化し採算管理を徹底するということ。ここで成果を出せない事業は、VAIOのように切り離される可能性は否定できない。

ある株式市場関係者は、「平井社長が掲げた4分野で成長を目指す方針は投資家も支持している」としながら、こうも分析する。「平井社長はエレキにも力を入れているように振る舞っているが、口うるさいOB対策ですよね。成熟した分野に積極的に投資して成長しろというほうがどうかしている。社長は口が裂けてもそんなこと言わないでしょうけど」

「祖業」エレキをどうするのか

成長性を重視する株主の立場から考えると、「テレビなど低収益のエレキは売却して、ゲームや半導体など市場が拡大しており収益性も高い事業に資金を振り向けるほうが合理的で企業価値が高まる」(株式市場関係者)ということになる。ただエレキは祖業。売却を頭で想定できても実行に移すにはソニーが向かう方向を明確に示すこと、そして経営陣のやりきる覚悟が必要だ。

経営陣は今のところ、中期経営方針においてエレキ事業の収益性改善を掲げている。この先も事業を継続して成熟市場で生き抜いていくつもりなら、市場の縮小からリストラという負のスパイラルを抜け出すために再成長へ向けたイノベーションへの取り組みを加速する必要があるだろう。

業績復活に一応のメドをつけた格好の平井社長。だが復活を確かなものにするには、5~10年後に何で稼ぐ企業になるのか、そのためのロードマップが決定的に欠けている。

中島 順一郎 東洋経済 記者

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なかしま じゅんいちろう / Junichiro Nakashima

1981年鹿児島県生まれ。2005年、早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、東洋経済新報社入社。ガラス・セメント、エレクトロニクス、放送などの業界を担当。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などを経て、2020年10月より『東洋経済オンライン』編集部に所属

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