山本昌はなぜ50歳まで現役を続けられたか

左腕に隠されたプロ野球生活の壮絶な苦闘

そんな彼の数あるケガの経験の中で、超人ぶりを物語る1つのエピソードがある。それは、2006年山本昌41歳のとき、彼の身に起こった野球人生最大級の危機だ。40歳を超えて現役ピッチャーとして活躍すること自体がすでに人間離れしたことだが、彼はこの年、ヒジの骨が折れた状態で投げた経験があるというのだ。

「ヒジの骨といっても本体ではなく、酷使したせいで変形してしまった部分が折れたので、痛みにさえ耐えればなんとか投げられた」。山本は当時の記憶を思い返しながら語る。もちろん、投げる度に激痛が走り、脂汗をダラダラ流しながら投げていたそうだ。

なぜ、そこまでしても投げ続けることができたのか。当時は、阪神タイガースとの熾烈な首位争いを繰り広げる一番大事な時期だった。だから、どれだけ痛みが襲ってこようともどうしても投げたかったという。そして骨折の激痛に耐えながら投げ抜いた結果、その試合に見事勝利を収め、中日ドラゴンズは見事リーグ優勝を決めた。

山本昌を育てた恩人との秘話

彼を語る上で欠かす事の出来ない人物がいる。今でも感謝しているという星野仙一監督だ。引退した今だから話すことができる星野監督とのエピソード、それは今から20年以上前のある事件にある。

巨人戦に先発で登板した山本は、3対3の同点からホームランを打たれてしまった。内心「これはやばいな」と思ってベンチに戻ったら、そのまま星野監督にベンチ裏へと連れて行かれ、鉄拳制裁を浴びたという。

山本自身は最初の5発目までしか数えられておらず……陰で見ていた選手に後から聞いた話では合計18発、殴られていたそう。これには、さすがに「ムカッ」ときて星野監督をグッとにらめつけた。すると星野監督は「そういう顔して投げろ!」と喝を入れた。

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