「下町ロケット」バスツアーは何がスゴイのか ロケ現場の会社は現実世界でも熱かった

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2階にある食堂。佃社長が全社員を前に熱く語った場所だ

「私どもは大田区の町工場であることに誇りを持っていますから、原作どおり大田区という設定にしていただくようお願いしました」

この願いはすぐに受け入れられた。蒲田駅近くの居酒屋でもロケが行われるなど、ドラマの世界観で「大田区」がきちんと描かれる結果となった。

撮影は、会社の業務がない毎週の土日に行われた。大嶌さんは朝5時から夜中の2時まで撮影に立ち会った。「これじゃあ身がもたない」と最初は思った。「でも、スタッフや俳優さんの情熱を見ているうちに慣れました」。

第3弾以降はどうなる?

佃社長や山崎技術開発部長が行き来していた作業現場

トリビアも教えてもらった。ドラマを注意深く見ていると、桂川精螺の文字が見つかることがたまにあるという。

桂川精螺は昭和13年(1938年)設立の精密部品メーカー。自動車部品メーカーにネジなどの部品を納める2次サプライヤーだ。自動車に使われる部品が売り上げの8割近くになるという。本社のほかに、静岡県掛川市や中国・上海にも工場がある。

自動車部品は金型の製作に大変なコストがかかる。そのため、大量に生産されるものでないと採算的には厳しい。とはいえ、景気の波に左右されない経営体質を築くためには、高付加価値製品の開発も課題となる。「佃製作所のように最先端のものをやっていかないといけませんね」と、大嶌さんは言う。

桂川精螺製作所を見学した後は、蒲田名物「羽根付きギョウザ」の昼食をとり、参加者が実際にモノづくりを体験できる施設へ。その後は、地元住民の憩いの場である「蒲田温泉」で汗を流した。ツアーが終わる頃には、参加者全員が佃製作所の社員であるかのような一体感が生まれていた。

このツアーは23日にも行われる。「さらに続ける予定はあるのか」。こんな質問を投げかけたところ、中嶋さんは「可能性はありますが、永田部長のことですから、まったく違ったツアーを考えているかもしれません」。次はどんなツアーで参加者を楽しませてくれるのか。興味津々だ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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