セ・リーグの監督が全員40代になった衝撃度 世代交代か一時的ブームかは1年後にわかる

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「監督の選定に関して年齢、経験は関係ない」と言うのはプロ野球経営評論家の坂井保之氏だ。かつて、ロッテオリオンズ、西武ライオンズ、ダイエーホークス(現ソフトバンク)などで、球団代表を務めて修羅場をくぐってきた論客である坂井氏は、「フロントの資質」について言及する。

ベテランにこだわったパ・リーグ

「誰を監督に据えるかが問題ではなく、どういうチームを作るか。つまり、球団フロントがどのようなビジョンを描いているかだ。その設計図に合った監督であれば年齢、キャリアの有無は関係ない」

その点、12球団最年長の梨田昌孝氏を招聘した楽天・星野仙一副会長は「ベテランの安定感か、リスクを覚悟で若さをとるかの選択だったが、うちは我慢のできる監督が必要だった」と語った。実際、セ・リーグの平均年齢が44歳なのに比べて、2球団で入れ替わったパ・リーグ監督の平均年齢は54歳だ。

福岡ソフトバンクホークス 工藤公康 52歳
北海道日本ハムファイターズ 栗山英樹 54歳
千葉ロッテマリーンズ 伊東 勤 53歳
埼玉西武ライオンズ 田辺徳雄 49歳
オリックスバファローズ 福良淳一 55歳
東北楽天ゴールデンイーグルス 梨田昌孝 62歳

 

楽天の梨田監督(右)は監督の中で唯一の60代(写真:日刊スポーツ)

セ・リーグでは団塊の世代どころか、50歳代の監督候補といえる人材までが"飛ばされた"感が強いが、パ・リーグはある程度のベテランにこだわった。近鉄、日本ハムで2度のリーグ優勝を果たしたベテラン、梨田監督は「まだ年寄りにも力があること、意地をみせたい」と力を込めた。

名監督の定義は「勝てる監督」。いくら人柄が良く人望を集めても、チームを勝ちに導けずに下位に沈んでは、采配能力を問われる。勝つことが最大の目的であることに変わりはない。世代交代なのか、それとも一時的ブームか。これまで以上に監督のリーダーシップや采配に注目したい。

寺尾 博和 日刊スポーツ新聞社大阪本社編集委員

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てらお ひろかず / Hirokazu Terao

てらお・ひろかず 日刊スポーツ新聞社大阪本社編集委員。阪神、近鉄、南海、ダイエーなどを担当、野茂英雄のメジャー行きから現地に派遣される。2004年球界再編を取材、2008年北京五輪、09年WBCなど国際大会などで日本代表チームのキャップを務める。現在は主に東京五輪での野球ソフトボール復活を取材中。ミニストップ社とコラボでオリジナルスイーツ作り、オリジン社と弁当開発を手掛けて全国発売するなど、異色の名物スクープ国際派記者。大体大野球部出身。福井県あわら温泉生まれ。趣味はスポーツ、歌舞伎、舞台鑑賞。毎週木曜日にABC朝日放送「おはようコール」のコメンテーターとしてレギュラー出演。

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