一休を買うヤフー、1000億円は高いか安いか 久々の巨額買収だが、競争環境は甘くない
しかし、約1000億円という、巨額の投資に見合う成果が得られるかは未知数だ。確かに、一休はリクルートグループの「じゃらん」や楽天の「楽天トラベル」など競合がひしめく中、独自の存在感を発揮している。1998年の創業以来、高級路線に特化して開拓を進めることで、先行者利益を享受してきた。
それでも、2015年3月期の営業利益は22億円程度。一方のヤフーは1972億円だ。一休が業績インパクトをもたらすのは容易でない。
早期にシナジーを出せるのか?
先行きも決して楽観できない。一休の主力である宿泊予約は、得意とする高級ホテル・旅館の新規開拓先が限られている。需要が本格化したばかりの飲食のネット予約は2014年の市場規模が前年比88.6%増の1764億円(経済産業省調べ)と急成長中。だが、カカクコムの「食べログ」やぐるなびなど、ライバルもサービス拡充を進め、競争は厳しくなるばかりだ。
今後のカギは、両社が単純な補完関係を超え、相乗効果をどこまで拡大できるかである。ヤフーはポータルサイトやアプリのユーザーを一休に送客すると同時に、ビッグデータを活用した見込み客の抽出も進める。具体的施策はこれから練り上げるが、宮坂社長は「相乗効果は早い段階で出せる」と自信を見せる。
スマホアプリの利用が進み、ECなどさまざまなサービス競争が激化する中で、成長率が鈍化していたヤフー。過去最大の大型買収を再加速の起爆剤にできるか。
(撮影:尾形文繁)
(「週刊東洋経済」2015年12月26日-1月2日号<12月21日発売>核心リポート06を転載)
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