ホンダ「2190万円バイク」が背負う重大使命

熟練技術者25人が手作業、年明けから納車

選ばれた熟練社員がエンジンを組み立てる。3人チームで1日1基しか製造できない

生産台数は1日1台。エンジンの製作から、フレームの溶接、塗装、部品加工、車両組み立てに至るまで全工程を手作業で行う。繊細な作業を担うのはバイク製作歴が20年以上のベテラン中心の25人だ。社員の中から特別に選抜され、半年以上訓練を受け、2015年9月末に生産を始めた。

バイクの要であるエンジンの組み立ては工程を3段階に分け、それぞれを1人が担当する。各工程には8時間を要するため、3人チームで製造できるエンジンは1日1基だ。作業員は電動工具を使わず、締め付けの強さが数値で分かるレンチでナットを締め付け、その数値を毎回記録していた。定められた数値の範囲を超えないようにし、品質のバラつきが出るのを防ぐためだ。

エンジンの歯車同士の隙間で許容されるのは20ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)。人の髪の毛の太さが50~100ミクロンで、他の量販車種では120ミクロン程度を許容しているので、いかに厳しい基準かが分かる。「歯車のかみ合わせの良さがエンジンの性能に直結する」(生産担当者)だけにまさに熟練技術者にしかできないともいえる。

2016年末までに約250台を生産

超高額商品だが、既に世界から300件を超える購入希望が寄せられている。生産は2016年末まで約250台の予定。日本では43件の商談が進行中で、年明けから納車を始める。

ホンダのバイクの世界シェアは30%以上で断然トップだが、二輪事業を支えるのはアジアで全体の約9割を販売する。インドやインドネシアで小型バイクやスクーターを積極的に投入し、市場の成長以上にシェアを伸ばしてきた。

一方、欧米で人気が高い1000ccを超えるような大型バイクでは、米・ハーレーダビッドソンや独・BMWなど老舗ブランドが強く、ホンダは追いかける立場だ。ただ、ライダーの高齢化と相まって、既に市場が成熟しており、伸びしろは限られる。

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