御厨貴・東京大学名誉教授に聞く「高市自民圧勝」の歴史的意義とメディアによる「強い者いじめ」の影響

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ーー歴史的な転換が現出した理由とは?

御厨 貴(みくりや たかし)/1951年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業。東京都立大学、政策研究大学院大学、東大教授を歴任し、現在は東大名誉教授。専門は日本政治史で、オーラルヒストリーの第一人者(写真:共同)

御厨:私は事実上の首相公選制を成し遂げてしまったことに尽きると思っている。

高市氏は対抗する首相候補がいないにもかかわらず、今回の選挙において「私を首相に選ぶのか、あるいはほかの人を選ぶのか」という二者択一を国民に迫った。かつて中曽根康弘氏や小泉純一郎氏が挑もうとしたが、貫徹できなかったポピュリズムを、彼女はやり切ってしまった。国民が直接リーダーを選ぶという感覚を、議院内閣制であるにもかかわらず疑似的に作り出した。

その結果として得たのが「3分の2」という絶対的な数。これによって、高市氏は自民党の救世主になった。これまで自民党は「壊れていく過程」にあると私は指摘してきたが、その壊れゆく組織が、高市氏という強烈な個性を中心にドーンとひっくり返り、息を吹き返した。

ジトジトが嫌われた

これまでの石破茂政権的な、いわばジトジトした、熟議と言えば聞こえはいいが決断が遅い、できない理由を並べる政治に対し、国民は明確な言葉を求めた。本当に実現できるかは別として、「できる」と言い切る強さ、世の中を明るく塗り替えてくれるような言葉が圧倒的に支持された。

ーー今回の選挙を「SNSの影響が大きかった選挙」と振り返る報道が多いですが、高市氏を批判的に報じてきたマスメディアの影響をどうみますか。選挙期間を通じて一部の週刊誌などは執拗に”スキャンダル報道”をしました。

御厨:出し時を間違えている。高市氏が最も勢いづいている瞬間に攻撃を仕掛けても、国民は「強い者いじめ」としか捉えない。「またやっている」としか捉えなかったのではないか。

高市氏は演出が非常にうまい。リウマチで手が痛む様子を時折見せたり、病と闘いながら国のために尽くす姿を示す。SNS上では「頑張れ」という応援が、古い体質のメディアからの「いじめ」に対する反動として湧き起こる。逆風を追い風に変える、極めて現代的なポピュリズムの形がここにある。

記事の続きは、〈御厨貴・東京大学名誉教授に聞く〉自民圧勝の歴史的な意味/高市「公邸政治」の弱点とは?/問い直すべき2大政党制実現への道をご覧下さい。
山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プランに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。14年7月から18年11月まで東洋経済オンライン編集長。19年1月から20年9月まで編集局次長週刊東洋経済編集長。20年10月から会社四季報センター長。25年3月から東洋経済総編集長。00年に唯一の著書『稀代の勝負師 孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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