「英語圏の国は学費が高かった」、慶応から一念発起しオランダの大学へ《ヨーロッパ留学が約4割増で人気》アメリカ留学との違いや意外な魅力
留学情報があふれる今だからこそ、どんな立場の人とつながり、どの視点を通じて選択肢に触れているのかが、結果を分ける重要な要素になっている。情報の正しさ以上に、その情報が「誰の利益の上に成り立っているのか」を見極める視点が、留学選択には欠かせない。
また、国や大学を検討する中で、北村氏が警鐘を鳴らすのが、大学ランキングへの過度な依存だ。
「ヨーロッパにも、いわゆる大学ランキング的な資料はありますが、ランキングは主にその大学の研究力を基準に作られており、学部教育の実態を反映していないことが多いのです。ランキングに依存しすぎると、本人が何をしたいのかという“軸”が育ちにくく、せっかく入学しても教育環境が合わず、途中で学習意欲を失うケースも少なくありません。
学士課程で大切なのは、研究実績よりも、学生支援、教育の質、卒業後の進路です。同じランキングを見るなら、学生の満足度ランキングや就職活動をサポートしてくれる部署があるかなどのほうに注目してほしいですね」
ヨーロッパ大学出願で、日本人学生がつまずきやすいのが高校での履修科目だ。工学系の学部では数学・物理、医学系では生物・化学。ビジネス系でも数学履修を必須とする大学は少なくない。日本では文系選択後に数学を外すケースが多いが、それが出願資格そのものを失う原因になることもある。
「成績がよくても、科目が合っていなければ出願すらできません。進路を考える時期が遅くなるほど、選択肢は確実に狭まります。また、日本の高校教育は世界的に見ても水準が高いにもかかわらず、制度への誤解から『まずは準備コースへ』と、本来不要な1年を遠回りさせられるケースも少なくありません。
さらに、いわゆる進学校に通う生徒ほど、評定平均のみで一律に判断され、不利な扱いを受けることもあります。単なる書類手続きではなく、こうした制度の隙間を一つひとつ調整していく“交渉”こそが、生徒にとってかけがえのない1年を守るカギになります」
「正しい選択」は、後からしかわからない
北村氏は、いきなり長期留学に踏み切るのではなく、「試す機会」を持つことを勧めている。22年からチェコ・プラハで実施している約10日間の短期プログラムでは、大学訪問や街頭調査、異文化混成チームでの課題解決を通じて、観光ではない「現地の日常」に触れる。
最後に、北村氏はこう語る。
「一度、自分が『やれる』とわかると、選択肢は一気に増えます。ヨーロッパの教育は、『学生の主体性をどう育てるか』が徹底しています。出願の時は“書類や面接で伝える力”、授業では“議論して考える力、伝える力”、卒業後は“自分の専門性を社会でどう生かすか”が問われます。
日本でも、点数以外の力を伸ばす仕組みが広がると、子どもが自分の興味を起点に進路を設計しやすくなるのではないかと考えています。正しい選択かどうかは、選んだ瞬間にはわかりません。大切なのは、自分で選んだ道を正解にしていく力です」
海外進学は目的ではなく、自分で考え、決断し、修正しながら進むための訓練の場だ。異なる前提を持つ他者と向き合い続けることを学びの中心に据えるヨーロッパの大学は、日本の高等教育がこれから問い直すべき学びの姿そのものなのかもしれない。
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