「英語圏の国は学費が高かった」、慶応から一念発起しオランダの大学へ《ヨーロッパ留学が約4割増で人気》アメリカ留学との違いや意外な魅力

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2023年度 地域別の日本人留学生数

文部科学省の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の主な取り組みである海外留学支援制度「日本代表プログラム/新・日本代表プログラム」の過去の派遣留学生の渡航先データでも、この傾向は顕著だ。

14年〜22年度(第1ステージ)では41%だった欧州渡航者が、23年度(第2ステージ)では57%にまで急増している。

「トビタテ!留学JAPAN」の広報・マーケティングチームリーダー、西川朋子氏はこの背景を次のように分析している。

「正確な理由を確認できてはいませんが、おそらく次のような背景があると考えられます。ヨーロッパの大学は学術的に優れているだけでなく、政府の公金投入により学費が抑えられている点が大きな魅力です。

イタリアなら年間30万円台から、ドイツなら無料〜60万円程度から、オランダやベルギーでは百数十万円からが相場で、日本の大学と大きく変わりません。円安や物価高の影響で高騰するアメリカに比べて、学費の安いヨーロッパが選ばれやすいようです」

「誰もが少しずつマイノリティ」の教室

ヨーロッパ留学の価値は、「どの国に行くか」よりも、学びが“管理されるもの”ではなく、“自分で引き受けるもの”として設計されている点にある。

ベルギー在住で、日本人学生の欧州大学進学を支援し19年目になる教育コンサルタントの北村美和氏は、ヨーロッパの大学教育を語る際、「教室の前提が違う」と口にする。

北村 美和「LEAP GLOBAL EDUCATION」代表・教育コンサルタント
北村 美和(きたむら みわ)「LEAP GLOBAL EDUCATION」代表・教育コンサルタント/中学卒業後に単身渡米し、現地の高校を飛び級で卒業。奨学金を得て米メリーランド州Towson Universityで学士・修士を取得後、NYのPR業界でキャリアを積む。2003年よりベルギー在住。KU LeuvenやVUB勤務を通じてEUの教育システムに精通し、日本人高校生の欧州大学進学を支援する。日本の高校卒業資格への理解促進に向けた欧州でのロビイング活動にも取り組み、大学出願において日本とEUをつなぐ先駆者として国際教育の現場で活躍。IECA、IACAC会員(写真:本人提供)

「アメリカの大学は、多様性を掲げつつも、どこかで“アメリカ的価値観への同化”が前提になります。一方、ヨーロッパの教室には、明確な中心がありません。誰もが少しずつマイノリティ。その前提で議論が行われます」(北村氏、以下同じ)

国籍、宗教、言語、歴史的背景。前提条件が異なる学生たちが同じ空間で学ぶ以上、議論は必然的に噛み合わない。だが、ヨーロッパの大学では、その「噛み合わなさ」こそが教育の中核に据えられている。

「異なる前提を持つ他者と議論し、結論を出すこと以上に、なぜ意見が食い違うのか、どこまでなら折り合えるのかを考え続ける。ヨーロッパの大学では、その訓練が、学問と同時に行われているのです」

EU27カ国には、英語で学べる学士課程のプログラムが数千あり、人気のオランダ、ベルギーだけでなくフィンランド、フランスなど学生の性格や希望に合わせて幅広い選択肢がある。また、多くの大学は国立であり、EUによる厳格な質の保証のもと教育水準が一定に保たれている。

ただし、国ごとに教育文化は大きく異なる。

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