「英語圏の国は学費が高かった」、慶応から一念発起しオランダの大学へ《ヨーロッパ留学が約4割増で人気》アメリカ留学との違いや意外な魅力

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「当初は授業も日常会話も理解できませんでした。そこで、最初の半年は友人関係構築に注力し、次の学期から成績を上げていくプランを立てました」

友人たちが授業ノートを共有してくれたのに加え、授業後に教員が個別対応してくれた。厳しい一方で、学ぶ意欲のある学生への支援は手厚かった。

その結果、1年目に2点台後半だったGPAは、2年目には3.98まで上昇。最終的には約3.76で卒業し、成績優秀者の称号を得た。卒業論文では、オランダにおける強制精神科入院患者の社会的地位向上をテーマに系統的文献レビューを実施。心理学と社会制度の両面を横断する研究に取り組んだ。

オランダの大学に留学した井上美雨さん
オランダの大学に留学した井上美雨さん(写真:井上さん提供)

井上さんが3年間の留学生活で得たものは、学問的成果だけではない。多国籍の友人たちと生活を共にし、困難な時期には互いに支え合った。

「スペイン、フランス、スロバキア、カンボジア、オランダ。世界中から集まった多国籍なメンバーは、友人というより『家族』と呼べるくらい深い絆で結ばれました。この絆は、私にとって一生の宝物です」

現在井上さんは、日本で就職。将来的には海外の大学院に進学し、発達特性についての研究を続けることも視野に入れている。

「日本の大学の質は、世界的に見ても高いと思います。ただ、就職活動が同時期に始まるシステムや4年目のあり方については、もっと自由な形があってもいいのではないでしょうか。ヨーロッパ留学は、皆さんが想像するよりも現実的な選択肢です。少しでも関心があるなら情報を集めてほしい。進路の可能性は確実に広がります」

数字が示す「ヨーロッパ留学」へのシフト

日本学生支援機構(JASSO)が2025年4月に公表した調査によると、23年度に留学した日本人学生は8万9179人(協定あり、協定なしの合計)に達し、前年度から約53%増加した。

地域別ではアジアが著しく伸びているが、北米の増加率約14%に対し、ヨーロッパは約39%と上回っている。

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