トラック転落から1年「陥没穴」、周囲の生活は今どうなっているのか――現地ルポ 異臭に騒音…激変した"当たり前"の日常

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工事現場
埼玉県八潮市の県道交差点で、道路陥没事故が発生してから1年が経ちます。現場の様子を取材しました(筆者撮影)
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埼玉県八潮市の県道交差点で、道路陥没事故が発生してから早1年。陥没した穴は、事故発生から3日後には幅約40m、深さ最大約15mにまで拡大し、転落したトラックの運転手が亡くなる惨劇に発展した。

現場周辺では、現在も騒音や下水のような臭気、硫化水素による金属の腐食など、近隣住民の被害を訴える声が報じられている。

一方で、近隣での取材を進めると、また違った角度から、事故の爪痕が浮かび上がってきた。

売上は現在も戻っていない

陥没現場周辺では、現在も一部通行止めが続き、仮囲いに覆われた内部では復旧作業が行われている。

付近を通れば、室外機が稼働しているほどの騒音が耳に入り、向かい風を浴びると腐卵臭を思わせるドブ川のような臭気が鼻をつく。工事は夜通し行われており、事故以前の日常は戻っていないことが伺える。

そこから徒歩数分の立地で、飲食店を営む店主は、事故の影響をこう振り返る。

「事故直後の数カ月は、前年の同じ月に比べて、売上が1~2割減りました。事故で交差点付近が全面通行止めになって、人の流れが減ったのが痛かった。

そもそも休業していると勘違いする人もいたし、事故周辺は危険だから寄りつかないお客さんもいた。陥没した穴は、事故直後からさらに大きくなっていったので、近くを通るのを避ける人もいたでしょうし、車で来ている方は駐車場を使うのも不安だったはず。

それ以降も、梅雨時や夏場は店内に下水の臭いが立ちこめて、外も臭気がきついから換気もできない。昼時は出前でなんとか売上を担保する時期が続いたね。いまは客足も戻ってきたけど、完全に売上が回復しているかと言われるとそうではない」

休日の昼下がり、店内に常連客がぽつりぽつりと訪れては、放映されるテレビを傍目に世間話を交わす。事故から1年で、長閑な光景は戻ってきたものの、前出の店主は「ひと段落したわけではない」と続ける。

「ウチは補償の対象外なんです。現場から半径200m圏内の事業者には、営業補償(事故前後の売上総利益の差額相当分)などが申請できるみたいですが、ここは範囲から少し外れている。実際に事故の影響を受けているのに、補償を受けられないのはやりきれない」

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