「管理職には、校務分掌を途中で変える勇気を持ってほしい。管理職から『一度こう決めたから、(大変でも)今年1年間はこれでいく』と言われましたが、それではパンクする人が出てきますし、立ち行かなくなります。変更できないなら、せめて締め切りを遅らせるといった日程調整をしてほしい。管理職の対応が『決まったのだからこれでやれ』という圧力一辺倒ではつらいですし、大事なときに体調を崩して休んでしまう教員が増えるばかりです」
業務過多を解消するためには、業務効率化も大切だと田中さんは指摘する。
「業務が嵩めば、無駄も増えていきます。そんなとき、管理職には教員が何をやっているかを把握したうえで、『これをやめよう』と主導してほしいのです。例えば、『20時以降でないと電話に出られません』と保護者に言われた教員が夜まで学校に残っていたら、管理職は『なぜこんな時間まで残っているのか』と教員を責めるのではなく、『16時45分以降の電話対応はやめよう。(教員の勤務時間内に)職場に電話しなさい』と言うべきではないでしょうか」
もちろん、管理職の中には、教員の業務過多を防ごうと、校務分掌の見直しや日程の調整、業務の効率化を遂行できる人も存在する。
「こうした判断や業務の調整ができる管理職のもとで働いたときは楽しかったですね。しかし、学校現場には労務管理の観点がない管理職も多い気がします」
教員の場合、労務管理や組織マネジメントについて学ぶ機会はなかなかない。大学の教職課程でもこうした授業はない。管理職になっていきなり労務管理の視点や組織マネジメントのスキルが求められても、うまく対応できない人がいたとしても不思議はない。
労働環境の改善は見込めない、退職も視野に
「もともと私は授業づくりが大好きです。発展的な資料をうまく提示できると、生徒たちは目を輝かせて話を聴いてくれますし、自発的に議論を始めてくれます。そんなときにやりがいを感じてきたのですが、25時まで業務が終わらない現状では教材準備も研究もできません。それでも『研修は教員の義務だから』と管理職に指導されると、『労務管理をするつもりはない』と言われているようにしか聞こえません」
教員という仕事が苦痛になってしまったと語る田中さんは、「65歳まで教員を続けるのは難しい」と考えている。
「この状況がこのまま変わらなければ、うちの学校はもう持ちません。そうなれば生徒に不利益が生じるのですから、何とかすべきだと思いますが……。今の私にできることは、目の前にある、早急に対処すべき問題を一つでも多く片付けることだけです」
激務から週に数回は持病の発作が起こっている田中さんは、退職も視野に入れているという。
教員不足が叫ばれて久しいが、人数合わせだけでは立ち行かないのが学校運営だ。管理職の労務管理や組織マネジメント力の向上、そうした小規模校の課題を踏まえた人事差配も必要になってくるだろう。
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